「イースタン・プロミス」三度目

    2008.06.26 Thursday| 23:43 |
水曜日、また行ってきちゃいました…わははてれちゃう
映画館では三度目、試写会入れたら四度目の「イースタン・プロミス」です。
6/19付けの記事で、6/21から上映スケジュールが変わり観に行くのが不便になる…なーんて行ってたのはどこのどいつだ?って突っ込まれそうですが、これには訳がありまして(そこのPCの前に座ってるアナタ!また始まったよ〜とか言わないの!)。
せめてもう一回くらい観に行きたいなあ、いっそ都内まで出ようか、でも都内のシアターは設備があんまり良くないみたいだし、大体7月に入ったら公私共に予定ギチギチだよ!と悩みつつ、シネコンの上映スケジュールを眺めていたと思いねえ。
はたと気付いたのです。
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」に13:20〜15:35という上映回があることを。
109シネマズ川崎における「イースタン・プロミス」の初回上映は15:30から…と云うことは、「インディ〜」を観終わってから「イースタン〜」上映シアターにダッシュすれば、ギリで間に合う!
どちらにせよ「インディ〜」も観に行く予定だったんだし、一粒で二度美味しいってもんだよ!私賢い!

そういう訳で、水曜日の109シネマズ川崎で「インディ〜」上映シアターから飛び出し、「イースタン〜」の上映シアターに走りこんだのはわたくしです。
あ、もちろん、上映途中から入場なんてことはしませんでしたよ。ちゃんと上映前に、他の方の迷惑にならないよう静かに着席いたしました。
その代わりと言ってはナンですが、「インディ〜」のエンドロールを途中でゴメンなさいしたのでした。先日の記事で、「映画は最後まで観てナンボ」とか書いた癖に…関係各所にいろいろ申し訳無い。

「インディ〜」公開が始まったので、「イースタン・プロミス」の上映は121席の小さめのシアターに戻っておりました。
観客は7割は入ってたかな。勾配が結構あるシアターなので、特に希望が無い限りは中段→上段(後ろ側)→下段(前側)の順で観客を入れていくのだけれども、かなり前の席まで埋まってた。
やはり男性客が目立ちました。女性も一人客が多かったと思います。

日本語字幕での鑑賞も四度目となると、さすがにもう新発見はありませんでしたねえ。
見慣れてきた分、微妙な言葉選びで気になる箇所もあったけど、これは私が言葉に対して少々気難しいところがあるからなので…その割りに自分の書く文章はこん程度?と突っ込まれると言葉も無いんだけど。うっ…たらーっ
例えば、ソイカ殺しの件でセミヨンがキリルを難詰するシーンです。
キリルはシラを切ろうとするんだけど、ニコライがキリルの指示だったと話しちゃう。何でバラすんだよ!といきり立つキリルにニコライ曰く。
「嘘はつくべきじゃない。彼はお見通しだ」
この場合の「彼」はセミヨンのことなのだけれど、当のセミヨンを前にしてニコライがセミヨンのことを「彼」っては呼ばないんじゃない?
もしかして英語ではHeだったのかもしれないけど(未確認です、ゴメン)、日本語としては、ボスって訳すべきだと思う。キリルとニコライが二人の間でセミヨンを話題にする時、ニコライは「ボス」って呼んでるんだし。
それともう一つ。キリルがニコライの名を呼ぶ時、ほとんどの場面ではニコライの愛称である「コーリャ」呼びをしているのに、字幕では「ニコライ」なんだよね。
ニコライ=コーリャということが日本人には判りにくいであろうと言う判断で、混乱を避けるため「ニコライ」表記に統一したんだろうけれど、個人的にはちょっと不満。
キリルがニコライと二人っきりの時、「ニコライ」ではなく「コーリャ」って呼ぶその甘さを含んだ声色がもんの凄くイイのにー。
と、こんな感じで枝葉末節レベルで気になる箇所が若干あったんだけど、大筋には影響無いだろうからまあ良しとしましょう。
日本版DVD発売が楽しみ。吹替のほうが日本語の分量が多くなるから、吹替要チェックだなと。

何度観てもニコライ=ヴィゴの素晴しさは色褪せず、わたくし熱が上がる一方なのですが、毎度そればかりではナンとかの一つ覚えと云うか壊れたテープレコーダーと云うかなので、今日は、キリル役のヴァンサン・カッセルについてちょっと言及してみたい。

彼のことは「オーシャンズ12」と同じく13、それと、ちょっとあまり大きな声では言えない映画(普通にレンタル屋さんにある映画だよ!)の3本ほどしか観たことが無かったのですが、今回の「イースタン・プロミス」の演技を観て、達者で魅力のある役者だなと感心しました。
キリルはその育ちの所為もあり我儘で傲慢で粗暴なのだけれども、同時に非常に臆病で打たれ弱い性格です。弱い犬ほどよく吠えるっていう諺を体現しているかのよう。
父親の愛情に常に飢えていて、父親の信頼を得たい、自分がひとかどの人物だと思われたいという気持ちに自分自身いつも振り回されている。売られてきた少女を殴ったり親友を殺せと平気で命じられるのに、赤ん坊を殺すことが出来ずに泣きじゃくる心弱いキリル。
ニコライに恋情を抱いていることは間違いないんだけど、マフィアというホモソーシャルな社会(男性同士がまるで同性愛者並の緊密な関係性を持ち、連帯を重んじる閉鎖社会。団結を重んじるが故に、ホモセクシャルを毛嫌いされる)において、ボスの跡継ぎであるキリルがゲイだなんてことは、周囲はもちろん本人としても認められない。
しかし、キリルのニコライへの恋着は募るばかりなのです。前にも書いたけど、娼館でニコライが少女を抱くのを見つめるキリルの、なんとも切なくて哀しげで諦めを含んだような表情が非常に良かった。
悪行を重ねたろくでなしのクズなのは間違いないんだけど、観終わって残る印象は憐れだったり痛ましかったり。感情の起伏の激しいキリルの内側に秘められた脆い繊細な心が印象に残ります。
ヴィゴの名演に隠れがちだけど、こういう不安定極まり無い複雑なキリル像を演じきったヴァンサン・カッセルの、大胆でありながらも緻密な演技は見応えのあるものでした。

アンナ役ナオミ・ワッツは何気ない装いなのにとても綺麗で、品格のある自然体の演技が良かったし、アーミン・ミューラー=スタールの一見穏やかでありながらも凄みのあるセミヨンも素晴しかった。
アンナの伯父さんを演じたシニード・キューザックも味があったなあ。この人は本来は映画監督なんだそうですが、旧時代を引き摺る頑固な老人役が実にはまってた。

前にも書いたかもだけど、とにかく瑕疵の少ない映画です。
何度も観て多少の冷静さを取り戻すと、例えばタチアナがレイプされ妊娠した後、あんなにお腹が大きくなるまでどんな生活をしていたんだろうか?とか、セミヨンなりキリルなりが何故手を打とうとしなかったんだろうか?とか、身重のタチアナがよく逃げ出せたものだ、とかほころびが無いと云わないけど、それこそ重箱の隅を突っつくようなもので。
ストーリーに目新しさは無くとも、個々のエピソードと展開の妙で観客の眼をグイグイ引き付けます。ミスキャストが一人もいない配役といい、その役者陣の見事な演技といい、素晴しい。衣裳や美術にもこだわりがあって、若干黄味が強いレトロな雰囲気のある映像も良かった。
ネットの記事で見る限り観客の入りもかなり良いようだし、ロングランされて、全国に拡大公開されるといいなあと願っているわたくしです。


「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の感想はまた後日!…そろそろ宿題が溜まってきたな(焦)。

コメント
>1号さん

年初めにEPを観た後、レンタル店でたまたま目立つところに置いてあったのです。「あ、これ確か1号さんが言ってたヤツだー」とばかりにレンタル。
よりにもよってヴァンサン観たのがオーシャンズとコレって、極端過ぎだよねえ(笑)。

「エリザベス」…そういや、いたねえ。そんなの。今度もう一回見直してみよう。
「マリー・アントワネット」でのマチューなみに、1号さんに教えてもらわなきゃ一生気付かなかったかもー。
そうだ!「リード・マイ・リップス」をレンタル店で見つけたのです!早速借りてきたよ。楽しみー♪

   >両手縛られちゃって、ばったばた暴れながら

マチュ、そういう役多いねえ(笑)。
まあ、そりゃあ縛りやすそうだし(簡単そうだ)、でも小動物系だから縛られると考え無しに暴れるよねえ。
「慰めの報酬」のグリンちゃんも、ジタバタ暴れてボンドが手こずるシーンなんてあると美味しいなあ。
「変人村」だったんだー!
(こっそり予想していたのは「アレックス」だったんだけどねん、ぢつは)

> オーシャンズ12と13、それにコレ
たしかにユニーク(笑)!

> ヴァンサン、「エリザベス」に出てるのね?
> …ヴァンサンいたっけ??
軽やかな足取りで笛吹きながら登場のアンジュー公爵!
あの逢った瞬間からエリザベスにえろえろなコト言いまくりの!
具合悪いとかゆってパーティに出て来ないで、
身内の仲良しグループで馬鹿騒ぎ(注:しかも女装姿で)していたのを
エリザベスに見つかった彼がそー!
・・・思い出して頂けましたでしょーか(笑)?

> マチュー出演作
ついさっき届いたばっかの“Actrices”を観終わったところだよん。
エキセントリックな監督役(注:しかもゲイ)!
激昂するアマルリックに大興奮!
両手縛られちゃって、ばったばた暴れながら、
♀にイイよーにいたされてしまっている姿も又
たまらなく似合っていてサイコー(笑)!
  • 1号
  • 2008/07/01 11:26 PM
>さくらさん

いらっしゃいませー。長いの全然OKですよん♪ 

   >今ではヴィゴfan化してます〜

一緒一緒、お揃いだあ(笑)。

ヴァンサン、本当に良かったですよね。
いいとこ無しのろくでなし男なのは間違い無いのに、観ているうちになんだか可哀相になってくるのは、ヴァンサンの絶妙な演技あってのものだと思います。
娼館やラストの川べりのシーンでは、雨に打たれる捨てられた子犬みたいな眼と表情が印象的でした。

仏雑誌和訳のご紹介、ありがとうございます!
クローネンバーグ監督はヴィゴをあちこちで絶賛、ヴィゴはヴィゴでどこに行ってもクロ監督を賞賛、これは相思相愛ってやつですね!(笑)
ネットのどこぞで拾い読みしたのですが、アメリカのメディアか何かでヴィゴのことを「クローネンバーグのミューズ」って評していたとか。ミューズって…女神だよねえ?

三度目のタッグ、是非観たいですねえ。個人的にはEPの続編なんていうのも期待しているのですが。
きゃんさん  先日お邪魔したさくらです。今ではヴィゴfan化してます(笑)。

ヴァンサンも素晴らしかったですね。人間味が溢れ感情移入しやすいキャラのせいか、救いの無いバカ息子なのにキリルが可愛くて。「ノーカントリー」のハビエム・バルデムと互角の演技力じゃないかと。

EPについてリサーチしたらヴィゴの演技についてポール・ジアマッテイやジャフリー・ラッシュ
デニス・ポッパーや来年のオスカー候補と噂されてるリチャード・ジェキンスそうそうたるメンツが絶賛してました。 仏の映画雑誌STUDIOに掲載があったので買ったのですが運良く和訳して下さってるサイトがあって。
クローネンバーグがヴィゴとの相性や役者としての魅力を語ってまして・・・
(一部抜粋で) 初めて観たのは1985年の『目撃者』のとき。それ以来私が彼をスクリーンで見るにつれて 彼のことは常に頭の中にあった。私は彼の一見優しそうでいてかなり挑発的な声や彼の知性、ユーモアが好きだ。またそれ以外にもとても気が合うんだ。映画の撮影はとても楽しかった。彼は没頭する人間だ。毎回驚くような探求をし、たとえば刺青のようなアイデアをくれたりもする。
彼のうちにある演技はJack Nicholsonのような外向的な俳優、名優と多くの人たちからみなされている俳優とは対極をなしている。Viggoは自分の感情をぎりぎりまで押しとどめる。際立った俳優なんてもんじゃないんだ。私はむしろ『ロード・オブ・ザ・リング』で多くの人から認められたという彼の経歴を皮肉に思っているよ。この役は恐らく彼が演じた役のなかで一番とらえ難くないものだからね。

バレエを習って友人がいて、見せ場になるアクロバット的な高い跳躍よりも
取り去った静の踊りのほうがずっと難しいと話してた事を思いだしました。素人目には判らないもんです。
しかし監督ゾッコンです(笑)。
将来的に3度目のタッグありそうですね。
長くてご免なさ〜い。
  • 2008/07/01 2:12 PM
>1号さん

1号さんがクローネンバーグ監督びいきだって、ものすごーく(←太ゴシック大文字で)判る!(笑)
私の場合は前作の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」以外だと、「デッドゾーン」と「ザ・フライ」くらいしか観てなくて、その内、まとめてチェックしようと思いつつも中々手が回らない状態…(そればっか)。

あまり大きな声では言えない映画は、「変人村」だよん。
内緒にするってほどでもないんだけど、あまりにも観る人を選ぶというかマニアックな映画かなあって思ったので。
ヴァンサン出演作数ある中で私が観たのがオーシャンズ12と13、それにコレ↑っていうのはちょっと問題があるかもしれない。わはは。

「オーシャンズ13」は実はEPを観た後で観たんだけど、あまりにもヴァンサンの扱いが適当すぎて気の毒でした。確かに可哀相だ。あれなら、12までで出演止めといたほうが良かったくらいだよね。

「リード・マイ・リップス」、検索したら確かに面白そう。エマニュエル・ドゥヴォスとの共演って云うのも興味深いので、探してみるー。
ヴァンサンについては出演作も本人のキャラクターもまだほとんど知らないんだけど、興味だけは多大にあるので、先ずは出演作リストを作ってレンタル店を回りたい。
ただ…まだ、マチュー出演作もチェック終わってないんだよー(泣)。いやいや、万里の道も一歩から。地道に鑑賞を続けたい。

検索したら、ヴァンサン、「エリザベス」に出てるのね?ダニエル出演作漁ってる時に観たんけど…ヴァンサンいたっけ??


ちょっぴりお久しぶりでありますv
昔っから激しくクローネンバーグ監督びーき
(バグライターと同居するぐらいの)なので、
きゃんさんの「イースタン・プロミス」大絶賛が気持ちよくってしょーがないぞ!
有難うーvvv

ところで、きゃんさん!
> ちょっとあまり大きな声では言えない映画
気になってしょーがないぢゃあないかーーーーっ(笑)!
お願い教えて!
もしもナイショとゆーならメールでこっそりででも。 ← しつこい?

> ヴァンサン・カッセル
「イースタン・プロミス」関係の宣伝でいつも
出演作品として「オーシャンズ13」が挙げられているのを見るたんびに
へろへろになっております・・・可哀想なヴァンサン(涙)。
個人的イチオシは「リード・マイ・リップス」!
(「あるクリスマスの物語」で又してもアマルリックの恋人役を演ぢる
エマニュエル・ドゥヴォスが主演!)
あとトーゼンの「憎しみ」と、それから「バースデイ・ガール」もオススメーvvv
好きキライわかれそーだけれど「ジェヴォーダンの獣」のヴァンサンもヨカッタよん。

あとは「クリムゾン・リバー」のメイキング。
監督:マチュー・カソヴィッツ との仲良しっぷりは
見ていてしあわせな気持ちになれるのでオススメ(笑)!
  • 1号
  • 2008/06/28 7:24 PM
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