地獄への道行き「ヒッチャー」

    2007.12.05 Wednesday| 01:36 |
と言うことで、「ヒッチャー」感想です。
サスペンス映画、しかも現在上映中だと言うのにネタバレだらけになりそう。ネタバレNG!の方は、回れ右にてお願いいたします。


「ヒッチャ−」(2007年、アメリカ)

学生カップルのグレースとジムは、休暇を利用しグレースの故郷へドライブに出かけた。深夜、土砂降りのハイウェイを走行中の車の前に突然男が立ち塞がる。咄嗟にハンドルを切ったことで事故は免れ、男は無事だった。男は車の故障で立ち往生していたらしかったが、見知らぬ男を車に乗せることを嫌った二人は、男を置いて走り去ってしまう。
その後、二人がガソリンスタンドで休憩をしていたところに、先ほどの男が姿を現す。ジムは隣町のモーテルまで乗せていって欲しいという男の頼みを断りきれず、二人はジョン・ライダーと名乗るその男を伴い再び車を出発させた。
車中、男は徐々に不穏当な言動を始め、遂にはナイフを取り出すとジムを脅しグレースに乱暴しようとする。必死の抵抗で男を車から蹴り落とす二人。翌朝、ドライブを再開した二人は、すれ違った家族連れの車の中にはくだんの男が乗っていることに気付く。車を追いかけ、車中にいる男が危険人物であることを告げようとする二人だったが、対向車が迫ることに気付かず事故を起こしてしまう。
車は大破し、ハイウェイをトボトボと歩く二人の行く手に、先ほどの車の姿が見えた。恐る恐る近寄った車の中には、既に事切れた子供と母親、虫の息の父親が残されていた。父親だけでも助けようと近くの町へ車を走らせる二人。やっとたどり着いたレストランで警察を呼んで貰おうとするが、駆けつけた警察はグレースとジムを殺人の重要容疑者として逮捕してしまう。
地元警察に連行され尋問を受ける二人。ところがそこにまた男が現れ、警察官を皆殺しにして姿を消してしまう。手に手を取って逃げ出す二人だったが、地元警察に連絡が付かないことを不審に思った州警察によって追われる身となってしまう。廃屋に身を隠すグレースとジョンに一人の警察官が投降を命ずるが、執拗に二人を付け狙う男が警察官を撃ち殺してしまう。警察官殺しの罪まで着せられ、再び逃げ出した二人を州警察が追いかけ、そこにまたもや男が現れる。ライフルを持った男は警察車両を殲滅しグレースとジムを追い詰めるが、二人は命からがら逃げ延びることに成功する。
疲れ果て何も持たない二人はモーテルに忍び込み、暫しの休息を取ろうとする。公衆電話を探して家族へ連絡をすべくジムが外出し、一人休んでいたグレースに男の魔手が近づく。銃をかざして一旦は男を撃退したグレースだったが、あまりにもジムの帰りが遅いことに気付き彼を探しに出ると、ジムは鎖で括られ、二台のトラックの間に繋がれていた。泣き叫び助けを呼ぶグレースを嘲笑うように、男はトラックを発進させようとする。助手席に乗り込み男を阻止しようとするグレース。通報を受け州警察が駆けつけるが、男はグレースの懇願も警察の制止も無視し、トラックを発進させてしまう…!


何せ1回こっきりしか観てないので、上記粗筋には誤りがあるかも。重大な齟齬があった場合、ご指摘大歓迎です。
元映画であるルトガー・ハウアー版は未見で、そちらの内容を前例としたり比べたりといったことはしておりませんので、そのあたりもご了承いただけると幸い。


えーと、一言で云えば、非常にツッコミどころが多い映画でした。
ジョン・ライダーは雨のハイウェイに突然現れ、グレースとジムを追い詰め、ひたすらに殺人を繰り返していくのですが、彼が何故にそういった行動を取ったかは映画の中では説明されません。
理由も意図も全く判らないままただひたすらに殺人を繰り返すジョン・ライダーの姿は確かに不気味、ハラハラドキドキの映画なので、観ていてつまらないとか退屈するってことはもちろん無いんだけど、何となく喰い足りないという感じがするのは何故かしら?
人間って意外と緊張感が長続きしないものだし、恐怖にも徐々に慣れてきてしまうものだと思うんですよ。
最初はひたすらに恐ろしい存在だったジョン・ライダーなんだけど、ジョン・ライダーがグレースとジムを追い詰める、他の人間が殺される、グレースとジムは命からがら逃げのびる。ジョン・ライダーがグレースとジムを追い詰める、他の人間が殺される、グレースとジムは命からがら逃げのびる。ジョン・ライダーがグレースとジムを追い詰める、他の人間が殺される、グレースとジムは命からがら逃げのびる…(タイピングミスじゃないよー)と何度も繰り返されると、なんと言うか、えっと、飽きてくる。
もちろん手変え品変えはしてくるんだけど、恐怖感が徐々に増していくという展開にはならず、テンションがあまり変わらないままの繰り返しなので、ダレてくるんだよね。
実際、最初は水を打ったように静まりかえっていた館内が、映画が進むにつれ徐々にざわめきだしてた。飽きると云うほどではないけど、緊張感を持続し集中して観ているというほどでもない、そんな感じ。

私が考えるに、ダレてしまうもう一つの要因が、グレースとジムのカップルの行動があまりにも考え無しなところ。
自ら墓穴を掘るというか、鴨がネギしょってついでに鍋まで持参してやってきたというか、要するに、その場その場で一番マズい道を選んで突っ走ちゃうのよ、このお二人さんは。
まあそもそも最初っから、女連れの若者が見知らぬヒッチハイカーを車に乗せてしまったことがイケナイっちゃイケナイんだけど、それを言ったら物語が始まらないのでこの点はまあ置いておくとしよう。
ナイフを取り出して二人を脅すジョン・ライダーを二人掛りで撃退して、車から突き落とす。ここまでも良いんだけど、この揉み合いの際に二人は携帯電話を失ってしまうのね。つまり、家族にも警察にもことの顛末を連絡出来ない。それなのにこの二人、路肩に車を止めて仮眠を取ったりしております。疲れているのは判るけど、先ずは、公衆電話を探して連絡すべきでしょう?
車から突き落としたからといってジョン・ライダーが死んだと決まった訳で無し(死んでたとしたら、それもそれでとっとと連絡しないと二人は殺人犯だよね)、また何か仕出かさないとも限らない。
いくら広大なアメリカ大陸のハイウェイだとしても、数十キロくらい走れば公衆電話の一つや二つ、ドライブインくらいはあると思うんだけど(これについては何せアメリカについての知識が無いので、当てはまらないかもしれない)。
で、惨劇が起きてしまう訳です。
何をどう騙くらかしたのか、ジョン・ライダーは家族連れの車にまんまと乗り込み、偶然にもその車に出会ったグレースとジムを嘲笑うがごとく、一家を惨殺してしまう。いくら一本道とは言え、ここで出会ってしまう偶然と言うかご都合主義も如何なものかと思わないでもないけど、まあ、それもいいや。
で、家族連れを惨殺したジョン・ライダーは次の獲物を求めてのことなのか、一旦姿を消してます。
グレースとジムは生き残った一家の父親を病院に連れて行こうと車を走らせ、やっとドライブインを見つけるんだけど、車の中に瀕死の父親とジムを残し店内に駆け込んだグレースが叫んだ言葉が「警察を呼んで!」「タオルを貸して!」…従業員はあきらかに不審気だし、店内に居た客は何が起こっているのかちっとも判って無いし。
ハイウェイに殺人鬼が出た!人が殺され、重症者が外の車の中にいるから直ぐに警察と救急車を呼んで!誰か手が空いてる人は、車の中の怪我人を見てあげて!
何故そんな風に言わないの?ちゃんと説明しないから…ほーら、やっぱり。駆けつけた警察に、殺人犯として逮捕されちゃう二人。警察に連行されてからも、グレースはまだしもジムは興奮して叫ぶばかりで、これじゃあ理解して貰えるわけ無いよね。
推理小説を読みなれた日本人としては、いくら目撃証言が無いと言っても車の中の指紋を調べれば、この場に居ない人間の指紋が出てくる訳だし、前夜立ち寄ってジョン・ライダーを乗せる羽目になったドライブインだってきちんと調べれば判るはずとか思っちゃうし、何故、順序だてて説明出来ないんだこの二人はとイライラしてしまうのです。

でもまあ百歩譲って、ここは、二人が恐怖と疲労で思考回路が全く働いてないと考えてあげよう。
ところがその後も、同じような考え無しの行動を繰り返すんだよね、このバカップルは。
警察署員がジョン・ライダーに皆殺しにされたことを知った二人はやっとの思いで屋外に出るんだけど、丁度そこに州警察が駆けつけてくる。二人は顛末を話したところで信じてもらえないという理由で、裏山から逃げ出しちゃうの!
いや、あんたたち身元を知られちゃってるから逃げたところで捕まるし、署内にはジョン・ライダーの指紋がベタベタ残ってるし、やってきた州警察の警部だってこれは大学生なんかに出来る殺しじゃないって、ちゃんとおっしゃってますよ?
逃げた挙句に廃屋で警察官と対峙してしまった時、グレースは警察官に銃を向けてしまいます。
撃つ気は無かったにせよ、アメリカというお国柄を考えたら、この場で射殺されてもおかしくないはず。
それでもって、二人を付け狙うジョン・ライダーが警察官をライフルで撃ち殺してしまったことから、二人は再び逃げる逃げる。警察から、ジョン・ライダーから、何とか逃げようとするんだけど。
でもね、グレースは実際には撃ってないんだから、硝煙反応調べれば彼女が警察官殺しの犯人じゃないことなんて一目瞭然ですが?
警察もとっちらかってて間抜けっちゃ間抜けなんだけど、とにかくこの二人の行動のトンチンカンぶりは半端じゃない。一事が万事、この調子なんだよ!逃げるべき時と踏みとどまるべき時がイチイチ逆目なんだよ!ゼーハー…(←興奮してる)
それにしてもジョン・ライダーは、どうしてあんなに簡単に逃げる二人を見つけ出すのか?警察も警察で、たった一人の殺人犯によってパトカー数台とヘリコプターをあっさり迎撃されちゃうのか。
ジョン・ライダー恐るべし。ナイフ使いも凄いし射撃は百発百中だし、もしかして特殊部隊にでも所属してたのかしら(笑)?

この映画の場合、ご都合主義は構わないと思うの。
理由も無いままに殺人鬼に追い詰められる恐怖を描いた作品なんだから、男が非人間的なまでに強力なことの恐怖、逃げても逃げても何度も出くわしてしまう恐怖、警察が自分達をちっとも守ってくれず、それどころか犯人と決め付けられてしまう恐怖、そういった不条理な恐怖を描く上ではご都合主義はむしろ必須。
なのに何故喰い足りないとかダレるとか感じたかと言うと、この映画で一番描くべき不条理な恐怖を、どこぞの映画評にもあった通り中途半端で思わせぶりなエピソードを散りばめることで、むしろ曖昧にしてしまったからだと思う。
例えば、序盤におけるドライブインのシーン。二人に置き去りにされたジョン・ライダーはドライブインにたどり着き、公衆電話からどこぞに電話して「こっちは大丈夫だ」と一言述べます。
何が大丈夫だったのか、電話の相手は誰だったのか、それは最後まで判りません。そもそも、彼が名乗ったジョン・ライダーという名前も実は他人のもので、彼が本当は何者であったかは最後まで判らないままなんだけど。
ジョン・ライダーは左の薬指に指輪をしているんだけど、その指輪について彼は「誠実そうに見えるから付けている」と語ります。これも本当の意図は判らないまま。
そしてジョン・ライダーは、本当ならどの時点でも二人を殺せたと思う。ところが、まるでネズミをいたぶる猫のように二人の首根っこを押さえては放し、また押さえては放し、まるで追っかけっこを楽しむがごとき行動を取る。ジムはこのことを、出逢った最初の時、豪雨の中を置き去りにしたから、そしてその後、車から突き落としたから、それを怨んで自分達を付け狙っているんだと考えるんだけど、どうもそれだけじゃない何かを感じさせるんだよね。と言うか、感じさせるようにエピソードを盛り込んでいる。

ジョン・ライダーは「I want to die」という言葉に固執し、ジムにもグレースにもそれを言わせようとします。
物語の中盤、グレースがジョン・ライダーに銃を向けるシーンがあるんだけど、普通の女の子でしかないグレースには、どうしても引き金を引くことが出来ずに躊躇します。そこでジョン・ライダーはくだんの台詞「I want to die」を繰り返すのです。
結局この場面でのグレースはジョン・ライダーを撃てないままなんだけど、その時、ジョン・ライダーはまるで吐き出すように「やくたたずめ!」とグレースを罵るのです。
うーん、彼は死にたかったんだろうか?
と、言うように考えてしまった時点で、ジョン・ライダーという男のあり様がぶれてしまうんだよね。
理由が無いまま主人公に恐怖を与え続ける殺人鬼だったのか、それとも、何らかの理由や目的あっての行動だったのか。
前者だとしたらジョン・ライダーの内心を現すエピソードは単に思わせぶりなだけで不要だし、後者だとしたら不条理な恐怖感は薄れて謎解きサスペンスとなってしまう。
でもって、この映画、結局ジョン・ライダーが何者だったか何を目的としていたかは判らずじまいで、散りばめられたエピソードは全く回収されないまま。だったら、やっぱり不条理な恐怖を描きたかった、ということなんだよね??
うーん、脚本が整理されてないのか、監督がいろいろと欲張っちゃったのか。
まるでゾンビのような不死身の殺人マシーンがただひたすらに主人公を付け狙う不条理な恐怖を描きたかったのか、何らかの理由によって心が壊れてしまった男が自分自身を含めたこの世界の全てを破壊しようとしている姿を描きたかったのか、どちらだったんだろう。
もし、ジョン・ライダーを不条理な恐怖を実体化させた存在として描きたかったとしたら、ショーンはミスキャストだったかもしれないとも一瞬思った。
ショーンがヘタクソでジョン・ライダーを演じきれてないというのではなく、ショーンは微妙な表情や目の動きで繊細にその人間を演じてしまうタイプの役者だと思うのですよ。なので、ショーンが演じるとその人物の過去や心情を見ているこちらがついつい思い描いてしまう。
これは観ている側=ショーンのファンである私の多大なる思い込みもあるだろうし、何よりも、先述の通りキャラ設定のブレがあるので、ショーンには責任は無いと思います。

物語の構成上の問題をさて置けば、ショーンの演技自体は非常に良かったと思う。不気味さ凶悪さ虚無感、そういったものを余すところ無く演じきっておりました。
短く刈り込んだ頭に歪んだ微笑が印象的で、非常に怖い見た目です。でもね、どうしても唇が乾くのか、お得意の唇ぺロリがやっぱりあるのよね。
あれをされるとダメなんだよねー。あれだけ凶悪なルックスに作っているのに、おっと可愛いぜラブとか思ってしまう。ああ、馬鹿なファンってしょうも無い。
結局のところ、スクリーンでショーンが観られたから良かったです(こんなに長々と書いておいて、最終的にそれかよ!)


ショーン以外の役者さんも触れておくと、グレース役のソフィア・ブッシュがなかなか頑張っておりました。細身でスタイルも良くて、とても可愛い。日本人好みの容貌なんじゃないかな。
実年齢が25歳っていうのには驚いた。20歳そこそこにしか見えなかったよ。

たまにとっちらかるけど、健気に頑張るグレースちゃん↑

ジム役のザカリー・ナイトン。ごくごく普通のアメリカ青年っていう感じなのかなあ?グレースのほうが目立ってるなー、と思って観てたら。あらら…。
さすがに詳細は伏せますが、ある意味とても目立ったとだけ申しておきましょう。

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