性愛の行き着くところ「チャタレイ夫人の恋人」

    2007.09.18 Tuesday| 23:58 |
今月に入り、ブログの間が空き気味。
文章を書いてない訳ではなく、手を広げすぎの結果なのですよ。書きたいことは頭の中にあるし実際書いているんだけど、あっちもこっちもで一つ一つをきちんと形に出来てないという状況。もうちょっと上手に時間を使わねば…と反省しきりのわたくし。

このところ集中して観てるのは、ショーン出演作の中でも文学作品を原作としている何作かです。
D・H・ロレンス原作「チャタレイ夫人の恋人」を始めとして、トルストイ原作「アンナ・カレーニナ」、「風と共に去りぬ」の続編として製作された「スカーレット」など。
読書の秋も間近ですし、名付けて「ショーン文芸シリーズ」、いざスタート!

さて、第一弾として取り上げるのは「チャタレイ夫人の恋人」です。
原作は発表当時より大胆な性描写が論議を呼んだ作品で、日本でも、昭和26年に新潮社から出版された伊藤整翻訳版が猥褻文書として告発され、裁判沙汰となったことで有名。
映画化も何度かされており、ショーンが出演した93年版は三度目の映画化になるらしい。
93年版はもともとテレビ用に作られたとかで、ビデオまたはDVDとして市場に流通しているものとしては、「ノーカット完全版(232分)」と「劇場公開版(115分)」の2種類が存在します。
私が当初レンタル店で見つけたのは、劇場公開版のビデオでした。

これ↓はDVDのジャケットだけど、参考まで。

「チャタレイ夫人の恋人(劇場公開版)」(1993年/イギリス)

借りるのに多少の勇気が要りましたよ。だって、思いっきり官能映画の棚に置いてあるんだもん。
ティーンエイジャーじゃあるまいし、それほどそういうことに頓着するほうでは無いんだけど、官能映画の棚の前で物色してる様子を知り合いやご近所さんに見られるのはさすがにマズイ。
他の作品と取り混ぜそそくさと借りたんだけど、我ながら、漫画雑誌と混ぜてエロ本を買う高校生かよっ!等と考えたりして。
そんなこんなで借りたビデオ、結構劣化しておりましたが、ショーンが若くて綺麗で色っぽいのを十二分に確認出来たのでそれなりに満足していたんだけど。
うほほーいっ♪某方のご好意で、完全版のDVDをお借りしてしまったのですよ。私、本当に幸せモノです。


「チャタレイ夫人の恋人(ノーカット完全版)」(1993年/イギリス)

第一次大戦で怪我を負ったクリフォード・チャタレー卿(ジェームズ・ウィルビー)は、地方の領地で隠遁生活を送っていた。
チャタレー卿と若く美しい妻コニー(ジョエリー・リチャードソン)の二人は一ヶ月足らずの夫婦生活を送り、新婚の身で戦場に赴いた夫は下半身不随となってしまったのであった。回復の見込みが無いことから心を荒ませる夫に、コニーは献身的に尽くしてはいたが、少しずつ追い詰められ孤独感に苛まれていく。
そんなある日、コニーは領地の森の中で、森番のオリバー・メラーズ(ショーン・ビーン)という男を見かける。メラーズの美しく逞しい肉体に心魅かれるコニー。
鬱屈するコニーを慰めるべく姉が気を配ったことから、チャタレイ卿の看護人としてボルトン夫人を雇い入れられた。ボルトン夫人が夫の面倒を看てくれるようになったことから自由な時間を得たコニーは、安らぎを求め森を散歩し、あの森番と再会する。メラーズとコニーは徐々に心を通わせるようになり、身分違いの不倫の恋であることを承知の上で二人は結ばれる。
メラーズとの恋と性愛に溺れどんどん美しくなっていくコニーに、夫は愛人を作り子供を生むよう求めてくる。その条件は、同じ上流階級出身の口の堅い男であること。コニーと愛人との間に生まれた子供を、チャタレイ家の跡継ぎにするためであった。しかしコニーはメラーズとの間に子供を身ごもっていた。
前妻の中傷から森番を辞め、炭鉱で働かざるを得なくなったメラーズは、新天地を求めカナダに移住することを決意する。
感情的な行き違いからメラーズと仲違いしてしまうコニーは、チャタレイ家を出て一人で子供を育てることを決意する。二人の関係とコニーの決意を知ったチャタレイ卿は激怒するが、コニーは意に介さない。
家を出るその日、コニーの元にメラーズからの手紙が届く。それにはカナダ行きの日程と共に、コニーを愛する気持ちが記してあった。車を飛ばし、港へ急ぐコニー。カナダ行きの船が出港する…。


最初に観た劇場公開版は何せ尺が短いので、話がドンドコ進んでいきます。その所為で、コニーとメラーズの感情変化が急激過ぎるような気が多少しました。お互い一目惚れだったってことで片付けるんなら納得出来なくも無いんだけど、感情描写よりも性愛描写が目立っちゃってね。まあ、そもそもがショーン観賞目的なので、それほどの不満は無かったんですが。
ところが完全版のほうでは、コニーとメラーズはもちろんのこと、チャタレイ卿やボルトン夫人らの心理描写がキメ細やか。多くのエピソードをたっぷり繋ぎ時代状況も丁寧に描かれており、まさに文芸大作といった風格抜群、とても充実した内容でした。
確かに性愛描写は沢山あります。
奥方様と身分卑しい森番との不倫の恋の物語、当然ながら内容はスキャンダラス、森番小屋で着衣のままで性行為に及んだかと思えば、屋外で全裸で抱き合ってみたり。でもその行為描写は物語を紡ぐ上で必須なものであり、コニーとメラーズの恋愛を描く上でなくてはならないものだという説得力のある描写がなされています。
そもそもお互いの肉体に魅かれあったことから、コニーとメラーズの関係はスタートします。
半身不随の夫の元で若い身体を持て余していたコニーは、明らかに性的欲求不満を抱え、性的な夢を見てしまうことに悩んでいます。

〜欲望の象徴とされる黒い馬に乗ったコニーが、半裸の若い男たちが身体に花を纏って居並ぶ小径を進んでいくと、池の前に出る。池の中には夫のチャタレイ卿が浮かんでいるが、彼は池の中に沈んでいってしまう。呆然と見詰めるコニーがふと眼を上げると、池の向こう側にはメラーズが立っている〜

メラーズを森で見かけた後に、コニーが見る夢なんだけど…判りやす過ぎ!フロイトもユングも必要無い、簡単な夢判断。
一方のメラーズも、前妻と別れ一人森の中での暮らしをしているのですからそういう欲求が無い訳が無い。メラーズは、コニーと出会った最初から、奥方様ではなく若く美しい一人の女性として彼女に興味を示します。奥方様に対して大丈夫なの?って思うくらい判りやすい、意味ありげな視線と態度をコニーに見せ付けるんだもん。おぼこな奥方様はイチコロだと思うのよ。
かと云って、メラーズが悪い男っていうんでは無いんだよね。いや、時代を考えたら、主筋の奥方に手を出すなんてとんでもない悪党って言われてもしょうがないし、実際、そういう噂が立ったお蔭で、職も村も追われる羽目になっちゃうんだけど。結局のところ、メラーズは悪党ではない、悪い男にはなれない。
一目惚れだったのかなー、高嶺の花にちょっとだけ触れてみたかったのかなー、観ていてううっかりそんな風に思ってしまうピュアな雰囲気も、ショーン演じるメラーズには漂ってました。

不倫の恋というだけでなく、彼らにとってもう一つの障壁は身分違い。現代の我々には今ひとつピンと来ないけど、当時の英国社会を考えたら、それはとんでもなく大きな障害だったはず。
チャタレイ卿の身分と階級へのこだわりは凄まじいもので、彼の眼には召使や森番、使用人といった身分の低い人間にだって感情も誇りもあるってことが判らないらしい。判ろうとする意志が全く無いのです。彼が根本的に悪い人間ではないことが観ていて判るだけに、同じ階級以上の人間にしか人格や人間性を認めないというその頑なさは、いっそ無邪気なほどでした。
階級社会って怖いね。
終盤、コニーがメラーズを追ってチャタレイ家から走り去っていくシーンで、それまでは常に感情を見せないようにしていたボルトン夫人やメイドたちが、まるでコニーを応援するかのような笑顔を見せたのが印象的だった。…皆、我慢してたんだなー。

この作品の本意は、不倫の恋を描いたスキャンダラスなメロドラマと言うことでは決して無く、階級社会への強力な問題提起であり、人間本来の本能から生まれでる純粋な愛情を、肉体を持ってして、肉欲という形で表現したものであると思うのです。
そういう意味で、この93年版「チャタレイ夫人の恋人」は原作の精神を忠実に描こうとした秀作なのではないかと思ったのでした。
コニーとメラーズの恋。その発端は確かに肉欲からだったかもしれないけど、彼らの肉体が結びつき関係が深まっていくにつれ二人の心も深まり、その間柄は純愛と云っても過言ではない真摯な恋愛に変化していく。
そんな風に思わせるだけの説得力のある作品だったと思います。

ショーン。いや、これがまた、実に素晴しかったと云うか見応えがあったと云うか。チャタレイのショーンは良いって噂には聞いておりましたが、ホントに良いです。
チャタレイ卿や上流の人間に対してチラチラと見せる、反抗的だったり挑戦的だったりする目つきと、コニーと心を通わせてから本心から愛しそうに彼女を見る時の柔らかな視線の対比が良い。身分の低い使用人としての自らの立場を十分に理解していて時に卑屈になりながらも、自尊心や誇りを捨て去ることも出来ない、反骨精神旺盛な青年の屈折した心理を丁寧に演じていました。
容貌の面では、この頃のショーンってもしかして、最も完成された美しい盛りだったのかしらって思ったほどだった。
そもそも、その美しく逞しい肉体でコニーを惑わす森番役なんだから、肉体の見事さは云うに及ばずなんだけど、その身体のありようが独特なんだよね。逞しいのは確かなんだけど、うーん、何ていうのかな。
例えばカジロワのダニエルの身体は、精密に計算されて作り込んだ身体だよね。専門家が関って、運動はもちろん食事から日常生活までコントロールすることで作られた身体。
マッツの場合であれば、適切な運動を怠ることなくきちんと施したことで身に付いた、強靭だけどしなやかな筋肉が特徴だと思う。ヴィゴもこのタイプかな。
でもって、チャタレイ夫人におけるショーンの身体ですが。
もって生まれた綺麗な骨格の上に、日常の肉体労働(実際には運動だろうけど)によって筋肉は付いてるんだけど、食事は適当に好きなように食べてビールも沢山飲んでるので筋肉の上にうっすらと柔らかな脂肪がまとわりついている…そんな身体なのです。意図的に鍛え上げたのではなく、日常の中でたまさか創り上げられた風なリアリティを感じさせられた。
胸部からウエストに向けて細くすっきりとしたラインが形作られ、腰からお尻に掛けては引き締まってるって言い切るよりはほんの少しの「ゆるみ」があるんだけど、それがまた実に何と言うか…色っぽい(これ以上は自粛!)。
プヨプヨしてるって訳じゃもちろん全く無いんだけど、固く鍛え上げられたと云うのでもない、骨と筋肉と脂肪の絶妙なバランスが生んだエロティックで美しい肉体でした。

コニー役のジョエリー・リチャードソンも綺麗だった。
随分と大柄な女性だなと云うのが第一印象。顔立ちは非常に綺麗で私としては好みなんだけど、腕とか足とか結構太いよねとか思っておりまして。
実際、脱いだら結構なボリュームで、整った綺麗な身体っていうのとは全然違うの。いかにも西洋人的な前に大きく突き出したバスト、ウエストはそこそこ細いんだけど腰はバンッ!って感じに張っててお尻もたっぷりと大きくて、水着モデルやグラビアモデルは絶対無理っていう雰囲気。
ところがね、これが色っぽいんだな。
同性からは「彼女って美人だけど、お尻が大きくてスタイルはあんまり良くないよね」とか言われそうなんだけど、多分、男性が見たら堪んないっていうタイプの身体なんだと思う。
上述の通り、ショーンもまた非常に色っぽい身体なんだよね。二人を例えて言うなら、熟しきって落ちる寸前の果物みたいな、そんな濃厚な甘さと汁気を感じさせられる肉体なの。必然的に二人の絡みは実に生々しく、官能的なものとなっていた。

ところで、このノーカット完全版なんだけど、amazonなどで検索すると「ノーカットヘア解禁全長版」ってなってるんだよね…えっと。
これって、誤解を招くと思うよー。どこのポルノ映画ですか?っていう表現だもの。作品の中身が良いだけに、勿体無い。
ヘア解禁って、今時ヘアなんて珍しくもないと思うんだけどね。ましてや文芸作品だし。このDVDが出た頃はまだ珍しかったのかしら。ヘアなんてそんなガタガタいうほどのもんでもないじゃん、大抵の人に生えてるしさ!生えてたらむしろ肝心なところは見えにくいってなもんだよ!(←暴言)

実際、全裸で抱き合っているようなシーンはさほど無いのね。回数は何回もあるけど割りと着衣のままなので(このほうがエロいって話もあるけど)、完全に全裸でっていうのは、えっと、1回か2回だったような。
全裸はですね、むしろ、森の中を裸で走り回るシーンが強烈でした。
昔の漫画とかドラマとかによくあって、最近だとパロディっぽく使われるシチュエーションがあるじゃない?浜辺とかで男女が、あはは、うふふって笑いながら追っかけっこするヤツ。
「私を捕まえて〜(はあと)」「こら〜、待てよ〜(はあと)」…みたいな。
あれを想像してしまいました。と言うか、そのまんま、そんなだったな。
それとその直後のシーンで、メラーズが森で沢山の花を摘んで小屋で待っているコニーの所に帰ってくるんだけど、全裸で花束抱えてるんだよね。要するに花束で股間を隠してると。
このシーンはあまりにもあまりだったので、ちょっとプププッてなってしまいました。演じてるのが若くて綺麗なショーンだから許せるけど、他の人だったらギャグにしか見えんぞ。
いや、笑ってしまった時点で、ショーンでもギリだったってことか。

原作は、昔々(大昔)、中学生の頃に読んだ記憶があります。小学校の図書室に置いてなかったんだけど(当たり前)、中学校の図書館には何故かありまして、勇んで読んだような次第。マセ餓鬼でしたの♪
とは言っても、所詮は世界文学全集とかの一冊だから、かなり端折ってあったんだと思う。当然ながら、チャタレー裁判で新潮社が負けてからの出版物だしね。もともと興味本位だったのに肝心なところが端折ってあって気が削がれたのか、当時の私にそこまでの読解力が無かったのか、なんだかあんまり面白いと思わなかった。
今、完訳版を読んだらかなり違った印象を持つだろうから、今度読んでみようかな。


【2013年追記】

その後、日本でもノーカット版DVDが再販されました。
入手しやすくなったので、今のうちにどうぞー。

原作本は、武藤浩史の手による新訳。 かつて話題になった伊藤整訳に比べると、現代的で読みやすいので、初めて読まれる方ならこちらがお薦め。

コメント
>alexさん

観た!観ましたともさっ!!
マッチョ過ぎず、細すぎず、実にバランスの良い美しい身体だよね〜。もう少し年齢を重ねたショーンの、「ゆるみ」の勝った身体もそれはそれで色気があってヨイのですが、この頃はとにかく綺麗。
特にあの、背中から腰、お尻のラインといったら、もう。…いかん、いかん、これ以上は裏手のほうで語りましょう。

コニー役のジョエリー・リチャードソン、「チャタレイ〜」以外ではまったく知らないんだけど、彼女の全裸を見た瞬間に思ったのが「熟しきって濃厚な香りを放つ果物」だったのです。
産後三週間かー。何となく納得。女性は子供を生んだ直後くらいの身体が一番色っぽい、なんていう俗説があるもんね。
でも、実際問題、産後直ぐの時期にあの身体を保持し、かつ映画の撮影に望むなんて…西洋女性って凄い。

ショーンを見るという目的だけでも観る価値十二分にある作品だけど、内容も本当に良い。
どうしても官能だの猥褻だのといった点に注目されがちな原作に加え、「ヘア解禁ノーカット」じゃあね、誤解されてしまうよね。非常に勿体無い。
ついにご覧になりましたね〜!!
美しいでしょ?チャタレイのショーン。
森番らしく、筋肉もある引き締まった身体をしているけれど、マッチョじゃないしどっちかといえば細身。でも、骨格の美しさと適度な筋肉と適度な脂肪、ものすごく「自然」な美しさがほんとにすごいと思います。
若い時だからよけいですかね〜(笑)

コニーを演じた女優さんですが、なんと産後3週間のお身体だそうですよ!!
出産後1週間は入院する日本と違って、向こうは生んだその日に帰宅なので感覚が違いますが、びっくりしました。
あのまろやかさは多分、そのせいもあると思います。
母性と成熟さを感じるなぁと思いましたが、いろんな意味で凝縮されてる時ですよねー、きっと。

そう、なぜか「ヘア」がつくこの作品。
劇場版は未見で、最初から完全版を観ているのですが、今の時代からすると「これのどこが猥嚢?」と思うし、ただエロとHだけがある作品じゃないんですけどねぇ.... 出版当時のイギリスは階級が歴然とありましたから、大騒ぎになるのもおかしくなかったのかもしれませんが。
「エロの代表」作品として取り上げられるのには結構不服です。いろんな要素がどっぷり詰まった作品なのにっ!
  • alex
  • 2007/09/19 9:24 AM
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