イースタン・プロミスの謎と考察〜その1

    2009.10.08 Thursday| 23:54 |
9月の臨時休業中はほっとんど映画を観ることも出来ないでいたんですが、だからと云って映画の世界から完全に離れられるわけも無く。
むしろ、実際に観られない分だけ脳内上映を繰り返しては、アレコレ考え続けておりました。
何を考えていたかったって云うと…「イースタン・プロミス」についてだったりします。
そこの貴方(←ピシッ!と指差して)、「また始まった〜」と思ったでしょ?
チッチッチ(←指を左右に振って)。「また始まった」わけでは無いのです。ずーっと続いているだけなんですよーだ(←可愛くない!)。

丁度去年の今頃、EPにおける時間経過の考察なぞをしてみたんですが(懐かしーね)、今回はもうちょっとだけ、重箱の隅を突いてみた。
本編の中で曖昧なまま説明されなかったエピソード、謎のままで終わってしまったエピソードがいくつかあるんだけど、それらの事柄について考え倒し、「もしかしてこんなんかなあ?」と推論してみました。
あくまでも、わたくし個人の解釈です。
資料を読み込んでいる訳でもないので、映画本編で描かれている状況からの単なる推測に過ぎません。個人的願望やら嗜好やらご都合主義的解釈が多々含まれる、と云うよりもほぼ100%そんな内容です。
眉を顰めてしまうような非道徳的、非道義的内容も若干含まれるかも。
EPオタクの脳内妄想として笑って許してくださる方、暇つぶしに読んでやってもいいよという方だけ、読んでね。
もちろんネタバレ満載、映画未見の方でネタバレNGの方は回れ右で、よろしく。



【タチアナの謎】

タチアナ自体が謎ということではなく、彼女の置かれた状況に謎と云うか疑問点が一杯。
西側諸国の自由で豊かな生活に憧れ、騙されて売り飛ばされてきた少女タチアナ。彼女をレイプし妊娠させたのが、ロシアレストラン「トランス・シベリアン」のオーナーであり、実はロンドンを根城とするロシアン・マフィアのボスであるセミオンであることは、彼女の残した日記などから明らかにされているけれども、何故セミオンは妊娠したタチアナをそのままにしておいたのか?
セミオンがタチアナに手を出したのは、特に彼女が気に入ったとかそういった理由では無いはず。
息子のキリルが彼女をレイプしようとして出来なかったことに腹を立て、言うなれば見本を見せたんだよね。
その結果としてタチアナは妊娠してしまったのだけれども、彼女が本来は「売り物」、「商売物」であることを考えれば、嫌な言い方だけど、腹の子を始末させようと考えるんじゃないかなあ。だってマフィアの親分だし、冷酷非道な悪党だし。
街を彷徨い歩くタチアナ、その姿がほとんど臨月間近に見えることからして、セミオンがタチアナの妊娠に気付いていなかったとは考えられない。
もしかしてセミオンは、タチアナに子供を生ませたかったのかしらん?
ここで思いつくのが、セミオンの一人息子キリルの有り様です。
いくら本人が否定しようとしても、父であるセミオンが認めたがらずとも、キリルが同性愛者であることは明々白々。
たった一人の跡継ぎ、血統を継ぐ者であるキリルが女を抱けない同性愛者であることは、セミオンにとって絶望的な現実であったはず。
父系を重んじるロシア人にとって、娘たちの産んだ孫はどんなに可愛くても、決して直系ではない。同性愛者であるキリルが子孫を残す可能性は低く、それによってセミオンの直系は絶えてしまう。
そんな時、たまたま自分の犯した少女が妊娠してしまったことを知ったセミオンは、生まれてくる子供が男子である可能性を夢想してしまったのでは。
それが故にセミオンは、妊娠を知って自殺を図ったタチアナに麻薬を打つまでして彼女を生かしておいたのではないかと、考えたわけです。
多分、監視を付けるなりしてどこかに閉じ込めておいたんだろうけれども。
逃げ出して街を彷徨っていたタチアナが羽織っていたコートは明らかに男物。あれは、その監視者の物を持ち出したんじゃないかなあ。
最初は、タチアナを逃がしたのはもしかしてニコライだったのでは?とも考えたのです。
しかし、タチアナを逃がしたのがニコライの仕業だととしたら、もうちょっと何らかの手立てを講じるんじゃないかと。幼い身体で臨月間近で切迫流産だか妊娠中毒だかの症状が出ている彼女をただ単に逃がすだけじゃ、それは救済ではなくむしろ殺人行為に近い。
そのように考えるとやはりあれは、タチアナが監視者の眼を盗んで逃げたと考えるほうが自然ではないかと。

ここで問題が一つ。今の医学なら、胎児の性別判定は可能だよね?という疑問点、と云うか突っ込みどころ。
そういうところは狡賢く(?)頭が回るわたくし、ちゃーんと答えは用意しておりましてよ。

その1.
タチアナを超音波検査の出来る病院に連れて行くことが出来なかった。
年齢や状況からタチアナが不法滞在であること、彼女自身が望む妊娠で無いことはすぐさまバレてしまうであろう。例え脅して口止めしても、病院でもろもろを喋ってしまう可能性があるので、普通の病院に連れて行くわけにはいかない。
それと、超音波検査は絶対ではない。見間違いや判断違いも有り得るので、医師や医療機関によっては結果を教えないという方針を取っている場合もある。

その2.
機械を使わない性別判定法としては羊水診断があるが、ちゃんと設備の整っていない場所ではむちゃくちゃ危険。ましてや、年若く身体が出来上がっていないタチアナには尚のこと危険。
流産してしまっては元も子もない。

と云った理由から、子供が生まれてくるのを待つしか無かったのではないかと。
肝心なのは生まれてくる子供であって母体(=タチアナ)ではないから、いざ、出産と云う段になったら医者を手配するなり病院に担ぎ込めばいいと考えていたのでは?

結果的にタチアナの生んだ赤ん坊は女の子だったのだけれども、あの子がもし男の子だったとしたら、セミオンは果して赤ん坊を殺そうとしただろうか?
もしかすると、早い段階でアンナを言いくるめ、自分の手元に引き取ろうとしたんじゃないかしら。
日記の内容をアンナが知る前、セミオンの正体にアンナが気付く前であれば、その可能性はあったと思うのです。
それが上手くいかなくても、キリルに殺すのではなく攫うことを命じるとかね。有り得るような気がするなあ。



【ソイカは何故殺された?】

星印を背負ったヴォリ・ヴ・ザコネの正式メンバーであり、キリルの親友でもあったはずのソイカは、何故ああもあっさりと殺される羽目になったのか?
映画本編においては、「キリルの悪い噂(=大酒飲みのゲイ)を広めようとしたから」だとされております。
それを言葉にしてセミオンに説明したのはニコライで、同時に「ソイカが警察に情報を流していた」からでもあるとも語っているんだけれど、これが本当であるか判断する材料は一切出てこない。セミオンを宥めるための言い訳に聞こえないこともない。
殺しを命じたキリルがその理由を説明するシーンは無いのだけれども、ソイカの死体への侮辱行為によって、キリルがソイカへ強い憎しみを抱いていたことが描かれております。
ここいら辺がちょっと引っかかったんだよね。
ソイカがキリルの悪口を言いふらしていたのが事実だととして、自分がゲイであることを認めたくないキリルがそれに怒りを感じたのは当然だと思うのだけれど、それだけの理由で、殺意に繋がるほどの憎悪を抱くものなのかなあ。キリルが単なる狂犬であるなら疑問も持たないんだけど、単に凶暴凶悪なだけとは思えない姿を見せることから、どうにも若干の違和感がある。
もしも本当にソイカが警察に情報を流していたとしたら、そのことをセミオンに告げた上で処断するほうが筋だと思うし。

そしてもう一つの謎が、このソイカ殺しをニコライはどの時点で知っていたのかと云うこと。
キリルに代わってセミオンに説明する様子からは最初から関わっていたようにも見えるけど、潜入捜査官であるニコライが殺人行為を見過ごすのは若干不自然だし、もしもソイカが警察への情報提供者だったとしたら、むしろ庇うのではないかと思われます。
で、ここでわたくしは、ソイカがニコライを脅していたんじゃないか、と妄想したのです。
警察へ情報提供をすることで何らかの見返り(違法行為を見逃してもらうなど)を得ていたソイカが、何かのきっかけでニコライの正体を知ってしまう可能性はある。いや、それどころか、そもそもニコライとソイカが協力関係にあったのかもしれない。
ニコライがキリルから信用され着々と地歩を固めていくのを知ったソイカが、ニコライに対して脅迫行為をしたとしたら?
潜入捜査に命と人生を賭けてるらしいニコライのことだから、ソイカを排除する方向に動いたとしても何ら不思議は無いのではないかなあ。
ニコライがキリルに何事かを吹き込んだり、けしかけたりするのはごく簡単なことだし、そうすれば、ニコライ自身が手を下さずとも、キリルがソイカ殺害に走るだろうことは想像に難くない…ような気がするのです。

謎を解くための一つの鍵として上げられるのが、トランス・シベリアンにファミリーの面々が集うパーティの折、キリルが携帯電話で誰かと話すシーン。
話している相手は多分ニコライだと思うんだけど、字幕で観ても、吹き替えで観ても内容が判然としない。スクリプトもあたってみたんだけど、英語力の壁もあり、やっぱりよく判らない。
ソイカの死体の始末について相談しているように思えるんだけど…。ここのくだりについて答えをお持ちの方、またはご意見のある方、是非ご一報くださいませ。


ちょっとだけ、覚書程度に書き留めるつもりが、やっぱり長くなっちゃった…。
まだもう少し語りたいことがあるので、続きはまた、日を改めて!

コメント
>かえでさん

こちらこそ、レスが遅くてごめんなさい! 
鋭い考察と云うよりも、ほとんど妄想じみたコジツケと云う感じですが、読んでいただいてありがとうございます。
タチアナについては、最初に観た時からあの男物のコートが気になって気になって…。
基本大雑把な割りに、一度気になりだすと重箱の隅を突っつきたくなる性格なもので、あれこれと考え出したら止まらなくなってしまったのでした。

   >臨月まで生かしておくのは、やはり男子が欲しかったと〜

仮にセミオンの元でタチアナが男児を生んでいたとしたらどうなったんだろう?と考えると、妄想じゃなくて考察があれこれ枝分かれしていくんですが、妊娠を継続させたことについては、やはりそれ以外の理由が見つからず。
ロシアンマフィアも日本のヤクザもそうなんですが、ああいった男性至上主義&男性同士の強い連帯感で結ばれたホモソーシャルな社会は、同時に激しいホモフォビア(同性愛嫌悪)を伴うそうで。
男同士の社会だからこそ、そこに恋愛やら肉欲やらが絡んだらややこしくなっちゃうからかなあ、等とわたくしは考えるわけですが。

   >ニコライが流した情報の出所をソイカのせいにしたのだと〜

上記の妄想文(笑)中における、もしかしてソイカがニコライを脅迫していたのでは?説は、100%私の妄想というか創作なのでちょいと横っちょのほうにおいて置くとして(笑)。
実際の映画の中の流れとして考えると、かえでさんが書かれていた通りかと思います。

「Good」はご覧になりました?
私の(これまた)妄想レビューにalexさんが追記してくださっていますが、かえでさんも何か気付かれたことがあったら、是非教えてやってくださいませ。
きゃんさん、ご無沙汰しておりました。
するどい考察に、あまり深く考えていなかった私は、頭をひねっているうちに日が経ってしまいまして、GOODのレビューも書かれて、慌ててこちらに出てきた次第です。タチアナに関しては、多分脚本家もあまり深く考えていないのではないかと思いますが…
確かに臨月まで生かしておくのは、やはり男子が欲しかったと思うのが自然ですね。キリルに関してはどこかで読んだのですが、ロシアンマフィアがホモというのは絶対に認められない事で、ましてボスの跡取りがそうだと存在が抹殺されるほどの大事らしいです。なので、キリルにとってはホモだと言いふらされることは、死活問題なので先手をとって密かにソイカを抹殺したのでしょう。警察に通じていたとニコライが言ったのは、うまくニコライが流した情報の出所をソイカのせいにしたのだと思います。
パーティーの最中の電話は、ニコライと思います。
beachじゃないcoastだって、ロシアから出てきて日が浅いニコライに英語の間違いを指摘していますね。ニコライ、ワザとかもしれませんが…

GOODもようやく手に入れまして、これから字幕と格闘です。
  • かえで
  • 2009/11/01 6:28 PM
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