ジョーカー第7回&前回までの覚書

    2010.08.24 Tuesday| 23:52 |
※注意! 
以下は、「ジョーカー 許されざる捜査官」第7回分を中心とした、ネタバレ感想です。
ネタバレNGの方は回れ右!にてお願いいたします。



今夜は、「ジョーカー 許されざる捜査官」第7回の放送でした。
実に密度の濃い、盛り沢山な内容でしたねえ。
模倣犯の登場はもちろんのこと、マスターは井筒課長への疑念をストレートに吐き出すし、冴子は伊達のことすら信用出来ないと口走るし、井筒課長は「俺が〇〇した」なんて爆弾発言するし。
あすかは人様の机ん中漁るし、伊達は本来の切れ者ぶりを露わにし始めるし、久遠の伊達への信頼と想い入れは募る一方だし。
…若干、微妙な表現が交じってますが、まあ、勢いで読み飛ばしてやってください。

事前予想はしていたものの、模倣犯の登場で物語が思った以上に大きく動きだしました。
前回までのような一話完結の物語ではなく、次回以降に繋がる内容だったのが最大の特徴。
しかも、単にストーリーが続いているというだけでなく、裏の制裁人としての伊達の心情や立場を揺らがせ変化させるという意味で、大転換の回となっております。
模倣犯と思しき人物が登場し、動き始めた時には、正直、ちょっと演技過剰でやり過ぎではないかと思ったのでした。第一回の犯人役の演技もそうだったけど、あからさまな狂気の演技が少々鼻に付いちゃって。
模倣犯のやり口があまりにも稚拙だし、出たとこ勝負のその場しのぎにしか見えず、途中まではてっきり、最後に伊達にガツン!とやられて、「お前に明日は来ない」で終りかと。
ところがどっこい、次回以降に続くとは。

模倣犯が単独犯だったとしたら、この展開には違和感があったと思うのです。あの若ゾーがあの危うい調子で「仕置き」を続けていたら、早晩、露見すること間違い無しだもん。
ところがねえ、まさか、共犯がいたとは。しかも、まさかのあの人が。
ラスト近く、彼が模倣犯の共犯だと判ったシーンで、彼の口走った台詞が怖かった。
「弟を傷つける奴は許さない」
うんぎゃあ、怖いよお。静かな狂気、確かな凄みを感じました。
それまでの登場シーンでは人当たりの良い、毒にも薬にもならない人物といった風を装っていたくせにー。いや、よーく考えてみれば、途中まで見せかけていたような、あんなちょい役であの役者さんは勿体無いよね。地味だけど、良い役者だもん。
ちなみに、堺雅人とは組!仲間だあね。山南敬助とも縁の深い、尾形俊太郎を演じていた俳優・飯田基祐です。
彼の登場によって模倣犯一味(?)に厚みが加わり、次回以降の展開がより興味深くなりました。
撃たれた伊達はどうなるのか。予告映像によると、あれで死んじゃうことは無く(そしたらドラマ終わっちゃう)、どこかに監禁されるっぽい。
気絶させられていた久遠はどうにか逃げ出すようだけど、警察に戻って、何をどこまで話すんだろう。全部を話してしまうわけにはいかないし、と言って、ある程度説明しなきゃ伊達を助けることは出来ないだろうし。
そういやあ、模倣犯が久遠を掻き口説いてるらしいシーンも挿入されていたなあ。伊達に引っ付いてないで、こっちの味方になれってことなんだろうなあ。
「伊達さんにはもう無理だ。迷ったら人は裁けない」
…ある意味確かにそうかもしれん。しかし、迷わずに人を裁く=殺すようになった時点で、人は人では無くなってしまうよね。
うわーん、来週が楽しみだー!


以下は、これまでの放送回ごとのプチ感想。
ツイッターでつぶやいた内容プラスαを、自分的覚書として記しておきます。

【8/4 第4回放送分】 
回を追うごとに伊達の置かれている状況や心情が徐々に変わっていき、伊達や周囲の人物たちの過去が見え隠れし、そしてますます謎が深まっていく。実に実に興味深い。
初回に思った通り、とても丁寧に作られたドラマであることをつくづく感じた。
伊達の秘密に気付いた久遠に、マスターがトコトン手厳しい。まるで駄々っ子みたいな言動が、実に可笑しい。どうやら、自分と伊達との間に誰か(お邪魔虫)が入ってくるのが嫌なんじゃないかなあ?いや、絶対そうだ。間違いない。三角関係萌え(笑)。
前回、第2回放送分から、伊達が手品技を見せるようになった。
この回に披露した口からトランプをダーっと吐き出すヤツ、「新選組!」で土方歳三を演じた山本耕史の得意技なんだよね。新選組!放送当時、バラエティ番組なんかで盛んにやらされてました。
もしかして、ヤマッコに教えを請うたのかもー。
いや、もしかしてではなく、そうに違いない。当時から、「耕史君は手品が上手で〜」とかよく話してたんだよね、堺雅人。
今でも組!仲間で飲んだりしているみたいだし、飲み会の席で「今度のドラマで…」とか話したら、大喜びでレクチャーしちゃうよね、やまっこ(そう云うキャラです)。あー、想像すると楽しいなあ。
※注意!全て筆者の妄想です。ニュースソースがある訳じゃない単なる戯言ゆえ、ご了承をば。


【8/11 第5回放送分】
新選組!で明里(山南敬助が身請けし、共に出奔する遊女)を演じた鈴木砂羽が犯人役で共演。
明里はほのぼの癒し系だったが、今回の弁護士役は上昇志向と欲にまみれた、これでもか!と云うくらいに嫌な女。
ここまでに登場した犯人役の中でも、一番強烈な人物だったんじゃないかなあ。伊達と対峙するシーンなんて、ど迫力の一言。
一方の伊達=堺雅人の演技には、いつも通り、落ち着いた中に秘めた情熱を感じさせられた。真っ向勝負の二人の演技には、実力派の名に恥じない確かなオーラがありました。
井筒課長が怪しいぞフラッグが立ったが、それじゃひねりが無な過ぎな気もする。まだ第5回で、半分まで至ってないことを考えると、早過ぎる。
しかし、推理小説や連続ドラマの常識としては、前半までの登場人物の中に犯人が居るのがお約束。後半になっていきなり登場してきた人物が「私が犯人だ」じゃあ、反則と云うものです。
宮城夏樹が刺された時、「あなたが」と敬語を使う相手が犯人…そうなると目上ってことになるねえ。となると、該当者は井筒と三上(マスター)の二人しか居ないんだよね。
うーむ。
さて、萌え視点。このドラマは回を重ねるごとに、伊達を可愛く撮る!と云う製作側の意図がはっきりしてきているように思う。
首を傾げたり、口を尖らせたり、頬を膨らませたり(ぶりっ子!)、ちきしょー可愛いじゃねえか!
憂いを秘めた伏目がちな表情、苦悩する横顔、怒りに燃える強い視線、くちょー!カッコいいじゃないか!!
それでもって、久遠は伊達のこと好き過ぎだよねえ? 見えない尻尾をブンブン振り回しながら、後を追っ掛け回している感じ。
マスターと久遠のバトルは既に恒例化。マスター、大人気なくも嫉妬してるようにしか見えんからヤメレ(本音としてはもっとやれ)。
※注意! 全て筆者の独断と偏見です。スルー推奨です。


【8/18 第六回放送分】
親による実子への虐待がテーマでした。
昨今大きな問題となっているテーマなのだが、人物設定や状況描写が類型的だったかなあ。予想通りの展開で、少々肩透かし。
なーんて考えながら観ていたら、今回初めて、伊達さんの決め台詞「お前に明日は来ない」が無かったよ! そうか、そう来たか。
ありきたりのストーリーと見せつつも、お決まりパターンを意図的に崩している。ワンクールのドラマ、その全体の構成をしっかり考えて作っていると感じた。
ストーリーに関連して、久遠の過去が判明。背中に残る傷跡から、うすうすそんなところではないかとは思っていたのだが、当たりでした。ちょっと残念だったのは、案外あっさりと久遠が過去から脱却してしまった点。そんな簡単なもんじゃねーだろ、と思はないことも無いが、それでなくても謎満載の物語、久遠の過去話をあまり引っ張ると尚更ややこしくなりそうだから、ここいら辺で決着付けとこ、って感じだったのかなあ。
人間関係がかなりキナ臭くなってきました。前回の放送から課長が怪しいぞフラッグが立ちっぱなしなんだけど、このままスンナリ課長で決まり!ってことにはならないよねえ。
五年前の宮城夏樹殺害事件の際、容疑者の一人だった井筒課長を伊達が庇っていたと言うのが、実に意外だった。
それでもって、その一件がどうにもこうにも気に入らないらしいマスターの言動、態度に至極納得。井筒課長とマスター、過去に一悶着あったとみた。
久遠のワンコっぷりは相変わらず。正直あまり興味の無い役者さんだったのだが(スミマセン)、だんだん可愛く見えてきたぞ。
このところ、来栖刑事がちょっとお気に入り。伊達のことが気になって仕方が無いくせに、ツンケンしたり、意地の悪いことを言ったり。
こういうキャラのことをツンデレと言うんかいね? それとも、好きな子を苛める小学生?


ジョーカー関連記事〜褒められたり、貶されたり

    2010.08.20 Friday| 23:47 |
前回の記事でちょっと勢いが付いたので、最近には珍しい連続更新でございますよ。
本日のネタは、雑誌や新聞に掲載された「ジョーカー 許されざる捜査官」関連記事のご紹介。
とは言え、私はテレビ雑誌を購入する習慣が無い上に、ファッション誌や女性週刊誌と云うものをほとんど読まない。その種の雑誌に山ほど掲載されているであろう、堺雅人インタビューやドラマ記事も当然ながら眼を通してはおりませぬ。
学生時代から愛読している週刊新潮と週刊文春(←オヤジかよっ!)、そして、これも長く購読している読売新聞(G党には非ず)に掲載された記事からの抜粋となります…だいぶ偏っておりますが、ご容赦。

先ずは読売新聞7/27夕刊から、「夏の連ドラ記者座談会」と云う記事。
新ドラマがスタートする時期の恒例企画で、読売新聞社の芸能記者5人による、座談会形式のドラマ評です。
夏ドラマ11本の星取り表が掲載されておりますが…なんとジョーカーは、二位でした!
世に言うところの月9や、人気アイドル主演ドラマ、クドカン脚本などを押しのけての二位は立派だよねえ。座談会で話されている内容も、なかなかよろしい。

「いつも笑って怒りを見せない主人公・伊達は堺雅人以外は演じられないのではと思ってしまうほどハマっているね。伊達の裏の顔に気付いた久遠(錦戸亮)が今後、どう出るか気になる」
(男性記者、42歳)


新聞片面1/4を使った記事中には写真やら星取り評やらも掲載されているので、座談会の中で取り上げられているドラマは4作品だけ。その中で「堺雅人がハマっている」と書かれているのに、大満足のわたくしでした。

この記事中ちょっと気になったのは、ジョーカーがアメリカのTVドラマ「デクスター 警察官は殺人鬼」に設定が似ているという内容。
「ジョーカーのほうは主人公が殺人に快楽を感じていない点で独自性を出している」、とフォローされてはいたんですが。うーむ。
実は、似た内容の記事を他でも見かけたのですよ。
週刊新潮7/22号、夏ドラマをあれこれ取り上げた記事です。小見出しは【海外ドラマ「パクリ」で味をしめた「ドラマ王国」フジテレビ」と云うもの。
さるTVライターの発言として書かれているのが、以下の通り。

「新番組の宣伝を見てびっくりした。『ジョーカー 許されざる捜査官』は、昼は心優しい警察官、夜は法の網の目をかいくぐる凶悪犯に制裁を加える闇の仕置き人という設定だが、米国の人気ドラマ『デクスター 警察官は殺人鬼』とソックリ」

…ふーん。なんでも、デクスターの主人公は子煩悩な警察の鑑識官で、夜になると殺人鬼に変身するんだと。

「シリアルキラーと仕置き人という違いはあれ、その対象は『法が裁けない凶悪犯』で一致しています。それでも今回の『ジョーカー』はオリジナル脚本という触れ込みなのです」

主人公が殺人に快楽を感じるシリアルキラーであるのと、苦渋の末に悪人を断罪する仕置き人であるのとでは、相当大きな違いだと思うけどなあ。 
私はその「デクスター」と云うドラマを観ていないので断言はもちろん出来ないけど、無理矢理アメリカのドラマを引き合いに出してパクリだ何だって揶揄するのではなく、現代版必殺仕事人ってことでいいんじゃない?
上記のTVライターに倣うとすれば、
「アメリカの人気ドラマ『デクスター』は、昔の日本の人気ドラマ『必殺仕事人』の設定とそっくり。ビデオを観たアメリカ人がパクッたに違いない」
と云うことになってしまうではないか。
記事全体を読むと、「ジョーカー」がどうこうと言うより、フジテレビを貶すためのターゲットにされたっぽい。
長く愛読していて好きな雑誌なのだが、週刊新潮はたまにこの手の「タメにする記事」と云うのを載せるんだよね。断片的な情報のみを取り上げて、力ずくで極論に持っていく。結論ありきで調査不足のままに記事を作って大失態をやらかして、挙句に編集長が交代したのは、そんなに前のことでは無いはずなのになあ。
個人的に新聞社系の雑誌より雑誌社系の雑誌を好んで読むのだが(新聞社系雑誌は新聞の意向に合致した記事ばかりだからツマラン)、この一件に関しては、読売新聞記事のほうが間違いなく公正だと思う。
伊達は悪人を殺しているわけではないし、法の下での裁きがどうにも叶わぬ時のみ、已む無く断罪しているのだからして。
「お前に明日は来ない」
そうつぶやいて悪人に銃を向ける伊達の表情は、怒り以上に哀しみを湛えている。その演技を眼にしたら、シリアルキラー設定のドラマのパクリだなんて言えないと思うのだ。

週刊誌記事と言えば、週刊文春7/29号にも夏ドラマの紹介記事が掲載されておりました。しかし、3ページに亘っての記事だったにも関わらず、「ジョーカー」は触れられずじまい。
もっともこの記事は、芸能関連の毒舌記事を書いている今井舞と云うライターさんの手によるものなので、取り上げられるはイコール貶される。従って、取り上げられないほうがましかも。
わたくし、個人的にこの今井舞氏があまり好きじゃない。と言うのも、昨年、「官僚たちの夏」の時だったか、堺雅人を評して「スカした演技」と書きやがった…じゃなくて、お書きになったから。
貶されたから怒ったと言う単純な理由ではなく、どうにも的外れに思えて納得出来なかったのだ。
堺雅人はスカしてないだろー。スカした演技っていうのは、例えば谷原章介とか玉木宏のような演技を指すんじゃないかなあ。
誤解の無いよう書き添えますが、二人を貶すと云う意図は100%ありません。だって、二人とも好きだもん。
気取ってるとか格好付けてるとか言い換えてもいいけど、タニショーとかタマキヒロシはそう云う「スカした演技」こそが持ち味だし、それが彼らの魅力だと思うのです。
でも、堺雅人はタイプが違う。スカさない、気取らない、格好付けない(むしろ、少しくらい格好付けて欲しいくらいだ)。
その記事を読んだ瞬間から、今井舞氏の芸能評は眉唾付けて読むようにしております。

さて、続いてはお口直し。読売新聞8/2夕刊に掲載された、堺雅人インタビュー記事です。
新聞片面の4/1弱のスペースを使った記事で、新聞掲載のインタビューとしては中身の充実した、良い記事でした。

「法律で裁けないことが分かったときのモヤモヤ感とか、俳優として演じ甲斐のある魅力的な役」

「凶悪犯を死をもって裁いたらスッキリするのかといったら、多分しない。割り切れない想いは残ると思う」
(果して法治国家の日本で、制裁を加えることは正義と言えるのか。と云う、記者の質問に答えて)

「制裁とはいってもそれは暴力でしかないことに伊達は気付いている。人は人を裁けるのか、伊達という役にこめられたメッセージが伝われば」

「誰でも持つ狂気というものは常に意識している」
(映画やドラマで時折見せる鋭い目つきが、柔和な表情と対照的で実に怖かったとの記者さんの弁に対して)

堺雅人らしい、生真面目な発言です。
単なるドラマ設定上の役柄を台本通りに演ずるのではなく、血肉を備えた人間、悲しみと怒りを心に秘めた一人の男を創りあげようとする堺雅人の演技手法が伺える内容でした。
ちなみに、インタビュー中はずっと優しい雰囲気で、笑顔を絶やさず、にこやかに語ったんだそうな。いかにも堺雅人だね!

いよいよ折り返し地点〜「ジョーカー 許されざる捜査官」

    2010.08.18 Wednesday| 23:55 |
夏休み前で仕事超多忙→ようやく待望の夏休み突入→帰省してのんびり→夏休み終了→猛暑の中、溜まっていた仕事の処理に目の回る忙しさ(←今、ここ)。
…と云うような流れで、長らくブログを放置してしまいました。毎度のこととは言え(←殴)、大変失礼いたしました。

さて、前回記事でも熱く暑苦しく語らせていただいたドラマ、「ジョーカー 許されざる捜査官」、早いもので昨日の放送分が第六回を数えました。中間の折り返し地点、と云うことになるのかな? 
いよいよ謎と疑惑は深まり、過去と現在の人間関係も複雑になってきましたねえ。
伊達と三上(マスター)の過去の因縁についてはほとんど解き明かされたし、鑑識の久遠健志の身体のキズとトラウマについては第六回放送で語られました(案外あっさりカタが付いたのは、若干肩透かしだったが)。
新米刑事宮城あすかの亡くなった兄、宮城夏樹刑事殺害については、事件の概要がようやく明らかになってきたと云う段階。犯人に繋がる詳細は未だ不明。
捜査一課の井筒課長は、表面的には少々軽めで明るいオヤジ像を取り繕っているものの、内面は相当複雑で喰えないキャラであることが徐々に判明。…もっともそのくらいの強烈な人格じゃなければ、捜査一課の課長なんて無理に決まってるけどね。
そして、現時点で未解決の謎としては、おおよそ以下の通り。

・宮城兄殺害事件の犯人は誰? そして、その動機は?
・宮城兄殺害事件の捜査の時、疑われた井筒課長を伊達が庇った真意は?
・井筒課長は一体何を何処まで知っているのか? 彼は敵か、はたまた味方か?
・未だ判らぬ、悪人たちの行く末。独房のような場所に入れられるシーンが一回だけあったが?
・個人(三上&伊達+久遠)で出来る仕事では無いはず。背後に何らかの組織が存在か?


他にも、謎と云うほどではないが曖昧にされている事実がいくつか。
先ず一つは、死んだ宮城夏樹の人物像が、はっきりと描かれていないと云う点。伊達と現ルポライターである片桐冴子の同期で同僚で優秀な刑事だったとされているが、その人となりが実はあまりよく判らない。
殺されるには理由がある筈だけど、彼が100%善良であったと言い切れるだけの証拠は、今のところは挙げられていない。
そして、片桐冴子の行動も若干判り難いんだよね。
神隠しについて、伊達や三上が関係していると感づいているような、いないような微妙な態度が気になる。ドラマを盛り上げるための、単なる思わせぶりなのかもしれないけれども。
同僚で(多分)友人でもあった宮城夏樹殺害事件の真相を探りたいという気持ちは判るのだが、この一件についてのみ、元恋人だったはずの伊達への態度が妙に他人行儀。互いにごく親しかった同僚の事件なんだから、腹を割って話したいと考えるのが、ごく普通の発想じゃないかなあ。
秘密を背負っている伊達としては本当の本音を話すことは出来ないだろうが、冴子のほうから伊達に対してアプローチを仕掛けている雰囲気がまるで無く、むしろ、伊達からは情報や意見を得ないまま、もしくは得ることを諦めた上で調査を進めようとしていると思えるのだ。
二人の過去に、果して何があったのか? 
まあ、「元恋人」であるからには別れた要因があるわけで、この宮城夏樹殺害事件と、その際に容疑者であった井筒課長を伊達が庇ったという一件が、二人の関係を裂いた直接的理由だった可能性は高いが。

毎回、悲惨な事件が発生し、その解決に至るまでを描く流れと、それ以外に物語全体を貫く本筋とも云うべき謎があり、それが徐々に解き明かされつつも回を追うごとに謎が深まっていくという展開は、なかなか見事なものだと思う。
最近のドラマには多いと聞く、その場しのぎの綱渡り的ストーリー展開ではなく、ワンクールのドラマ、その全体の構成をきちんと考えて作られていることが伝わってくるのだ。
堺雅人主演であるが故にかじりついて観ているわたくしですが…萌え視点は置いておくとしても、丁寧に作られた良質なドラマであるのは間違いないと言い切れる。

さあて、ちょいと調べてみましたぜ。
「ジョーカー 許されざる捜査官」視聴率の変遷だあっ!
初回視聴率が13.9%、第二回放送分が15.7%であったことは、前回記事に記載した通りだけど、第三回以降の視聴率は以下の通り。

第三回 : 13.4%
第四回 : 13.7%
第五回 : 13.8%
第六回 : 14.5%


第二回放送でポンっ!と視聴率が跳ね上がった分、第三回は若干落ち込みましたが、その後はまた徐々に視聴率が上がってきております。
昨日の第六回は初回視聴率を超えたぜよ!
前にも書いたけど、ドラマは初回放送分の視聴率が高くて、二回目以降は落ちていくと云うパターンが多いらしい。
しかも、夏休みやらお盆やらで外出が多くテレビ全体の視聴率が低い上に、特番や映画などの強力な裏番組をぶつけられやすい夏ドラマとしては、上々の成果なんじゃないかなあ。
もっともこの件については、全ての放送が終わるまでは評価しにく、判断し難い。獲らぬ狸の皮算用にならないよう、口は閉じておいたほうがいいかな?

来週はなにやら、三上&伊達+久遠の「お前に明日は来ない」トリオに、対抗馬が現れる模様。
得手勝手な論理と勘違いの全能感で武装した(←これは推測)、新たな仕事人の登場らしい。
予告では、堺雅人…じゃなくて伊達刑事の怒鳴り声が響き亘っておりました。
「お前と一緒にするなっ!(怒)」
楽しみだー。

堺雅人初主演ドラマ〜「ジョーカー 許されざる捜査官」

    2010.07.21 Wednesday| 23:50 |
W杯南アフリカ大会の熱気もまだ収まらぬ7/13(火)、堺雅人の初主演ドラマとなる「ジョーカー 許されざる捜査官」(CX系列)が始まりました。
根気が無くて気が短く、余程のことでないと連続ドラマを観ることをしない私ですが、堺雅人が出演するとなれば話は別。しかもっ!ついにっ!ようやっとの初主演!ですからねえ。
連続ドラマはとにかく、沢山の人の目に触れる機会、メディアで取り上げられる機会が断然多い。
単発ドラマや映画(大作は除く)とは注目度が段違いである以上、その主演には、誰もが知っている有名俳優、視聴率を稼げる人気俳優が配されるのが必然なわけです。
その連ドラ主演俳優に堺雅人が抜擢されるとは…感慨深いなあ。
思い出を語ってセンチメンタルになるのは年を取った証拠!なーんて云われてしまうかもですが、大河ドラマ新選組!の山南敬助役でファンになって、早や6年。
放送当時、終了直後の熱狂的な想いは、今は穏やかなものに変わったけれども、それでも尚、堺雅人が出演するドラマや映画は、私にとってやはり特別なものです。
とは言え、堺雅人は有名俳優やスターと云うより、昔ながらの役者と云う名称が似合う人。
佳作と称される種類の映画の主演や、大作映画の準主役、単発ドラマの主役はあったとしても、連続ドラマの主演はまさか無いだろう、そう決め付けていたことをここに白状いたします。
ところがどっこいフジテレビってば、堺雅人の数年前からの映画への連続出演、舞台での好演、雑誌媒体での露出等々ちゃーんとチェックしていたんでしょうねえ。ありがたや、ありがたや。

さて先週の第一回放送に先立ち、ジョーカーチームはせっせと番組宣伝に勤しんでいた模様。
初回放送日は朝のめざましテレビから始まって、午前中のワイドショー、笑っていいとも!、夕方のニュース番組など、ハシゴして生出演しておりました。
私はほとんどチェック出来ていないのですが、お昼の「笑っていいとも!」だけはリアルタイムで観賞出来ました。
出演は堺雅人と共演の錦戸亮、杏の三人です。
以前に比べればこの手のバラエティ出演にもだいぶ慣れてきた様子の堺雅人、きっちり語るべきことは語り、他の出演者ともほどほどに交流しておりましたが、やはりそれでも生放送は苦手らしい。
いつも背筋がピンと伸びた人なのに、なんだか妙にくにゃくにゃしていたり、指を神経質に動かしたり、視線が泳いだりするのが可愛いような、心配なような。
以前はねえ、話が長くなって途中で遮られたり、話すタイミングが悪くて司会者にスルーされたりすることもあったのだよ。頭が良い人なので空気読めないと云う風にはならないのだが、本人の真面目さとバラエティのノリが噛み合わないこと歴然みたいな、そんな感じ。
毎度、胃が痛くなる思いで、まるでお母さんのような気持ちでハラハラしながら観ていたものだが…成長したねえ、雅人(←田舎のおばあちゃん気分で)。



例によって前置きが長いが、さて本題。ジョーカー第一回です。
番宣やら新聞の紹介記事やらで現代版必殺仕事人的なドラマであるのは判っていたのだけれども、ラストで簡単に悪人を成敗しスッキリ終了と云う単純な物語では無かったのが、良かった。
時代劇とは違う以上、「様式美」で押し通して勧善懲悪をしてしまうと漫画チックになりがち。全てを漫画チックに作るなら話は別だけれども、複雑な人間関係やそれぞれ裏がありそうなキャラ設定など、細部をリアルにシリアスに作っているドラマなので、その辺は脚本家も監督もきっちりと筋を通して作っているように感じました。
初回と云うことで伏線張りまくり、明かされていない事実も多く、あっちもこっちも謎含みなのは好き嫌いが分かれるところかもしれないけれど、個人的には非常に好み。
一つだけ残念だったのは、犯人役の演技。監督の指示だったのだろうけれども、あまりにも奇矯すぎ、突飛すぎ。堺雅人の演技が奇をてらうことの無い落ち着いたものだったので、対比の妙を考えたのかもしれないが、狂気を演じているというよりコントっぽく見えてしまった。
いろんな意味でドキドキハラハラしながら観た初回放送だったけれども、取り敢えずは次回以降も安心して観ることが出来そう。



後日の発表によると、初回視聴率は13.9%とのこと。主役がビッグネームではないし、こんなもんかしら。
残虐な殺人シーンに疑問を抱いた視聴者もいたようだけど、ドラマとしての評価は悪くないようなので、視聴率も徐々に上がっていくといいなあ。

引き続きまして、第二回放送の感想です。
今回は通常の放送枠だったのだが、内容が濃かった。ストーリーもキャラクターの書き込みも実にみっちりしていて、見ごたえがありました。
こう云う言い方もナンだが、フジテレビさん、かなり真剣に力を入れて作ってくれちゃってる感じ。
…いや、テレビ局やドラマによっては酷いのあるじゃない?話やキャラが薄かったり、途中で話が迷走しちゃったり。まだ第二回しか放送していないので、これからどう転んでいくかは判らないけれど、今のところ非常にきっちりしっかりとしたドラマ作りをしていると言える。
初回拡大版でドーンッ!と花火を打ち上げ、それ以降徐々に尻すぼみになるドラマも多い中、一篇のドラマとしても中身が充実していて面白いし、しかも、次回以降の展開に期待感が盛り上がる内容でした。
てっきり、必殺仕事人的パターンが繰り返されるのかと思ったら、全然そうじゃなかったし。
伊達刑事が、好き好んで夜の顔を持っている訳では無いということが、とてもよく判る内容なのだ。
仏の伊達さんという呼ばれ方をしてはいるものの、一部の刑事仲間からは明らかに昼行灯的にあしらわれている伊達刑事。しかし今回は、伊達本来の力を昼の顔でも発揮するのです。
法律の中で犯人を裁こうと、必死になる伊達刑事には鬼の凄みを感じられた。犯人と対峙しているシーンはでは、堺雅人の台詞回しが秀逸。穏やかそうでありながら、したたか。まるで舞台劇を観ているかのような迫力。これぞ、堺雅人と云う演技を見せてもらった気がします。

前述のように、伊達は昼と夜で違う顔を持つ男と云う設定なのだけれども、お仕置き(笑)のシーンでも、表情や態度を極端に変える演技をしていないのだ。どうやらこれは、意図的なものらしい。
確かに、それまで穏やかでのほほんとした雰囲気の人が、まるで人格が変わったかのように変貌してしまうのは、舞台はまだしもドラマでは漫画っぽくなりがち。
敢えて押さえた演技をすることで、緊迫感が増している。この第二回では、夜の顔でもって悪を懲らしめるという行為を伊達が必ずしも望んでやっているわけではない、と云うのがひしひしと伝わってきた。
この辺の心理描写も非常にリアルで、よろしかったと思う。

第二回では、初回では曖昧にぼかされていた件が、徐々に明かされだします。
先ず判ったのが、伊達刑事の過去とバーのマスター(大杉漣)の過去。
二人の過去に接点があったことが取り合えず明かされたのだが、これもまた、謎の入り口って感じなんだよね。

そして、謎はまだまだ一杯。
例えば、第一回で船に乗せられた犯人は、一体どこへ向かったのか。
これまでに起きた神隠し事件で、行方不明になった連中はどうなったのか。
伊達は何時から夜の顔を持つようになったのか。
伊達に協力者は居るのか。居なきゃ無理だと思うのだが、果してそれは誰なのか。
ルポライターで元恋人の片桐冴子(りょう)は、何をどこまで判っているのか。
新人刑事宮城あすか(杏)の兄は何故死んだのか。そこに伊達はどう関わっているのか。
鑑識の久遠健志(錦戸亮)が見せている軽薄なキャラはどうやら仮面らしが、彼の真実の顔はどんなものなのか。
神奈川県警捜査一課の井筒課長(加賀丈史)は、伊達を認めてはいるようだが、実際にはどういう人物なのか。

ね? 謎が一杯でしょ? 次回も観なきゃって思うでしょ?
なかなか上手いよねえ。願わくば、尻すぼみになりませんよう。張った伏線は全て回収してくれますよう。南ー無ー。

そだそだ、第二回の視聴率は15.7%だったらしい。
おおっ!初回よりも上がっているではないか!!
ドラマは初回が一番視聴率が高くて、二回目以降は落ちていく傾向があるので、これはなかなかの好結果。
第三回以降もクオリティを落とすことなく続けてくれれば、これは化けるかもよ?

他に、今回ちょっと気になった点。
日頃、伊達を軽んじている同僚が、第二回で「あいつは性格が悪い」と云う発言をしていたのだ。
気になる。
だって、仏の伊達さんって呼ばれているんでしょ? 性格が悪いと思っていると云うことは、本当は仏じゃないと考えているってことで、むしろ、能ある鷹は爪隠すだと判っているってこと…だよねえ。
この辺もしかすると、あすかの兄の死の一件に関連してくるかもだ。

もういっちょ。フジテレビは、堺雅人をチャーミングに撮ってくれるのが実にありがたい。
エンジンの鳥居先生はダサい設えだったがエプロンは非常に萌えだったし、Dr.コトーの白衣眼鏡(&鬼畜)はそりゃあもう言うこと無しに素敵だったし、ヒミツの花園(これは関テレだけど)の航兄いは終始とにかく可愛かったし。
他局ドラマと比べると、フジテレビドラマにおける堺雅人は時に可愛く、時に格好良く撮ってもらっているのが一目瞭然。ヘアメイクさんとの相性がいいんかな?


浅田次郎「日輪の遺産」映画化! 堺雅人主演!!

    2010.04.27 Tuesday| 01:19 |
マッツ出演「タイタンの戦い」、土曜日に観賞。
マッツ=ドラコは文句無しに格好良く、めっちゃくちゃに素敵でした。
映画自体の感想は、只今脳内で煮詰めてますので、少々お待ちいただけると幸い。ぐつぐつぐつ…。 おでん

先週の段階で話題になっていた、堺雅人ネタを一本。
映画「日輪の遺産」で、またまた主演 拍手 だそうです。

■ 堺雅人よ軍人になり200兆円隠せ!…映画「日輪の遺産」主演(スポーツ報知)

浅田次郎のベストセラーの映画化で、堺雅人の役柄は近衛第一師団情報参謀の真柴少佐だそうな。黒雅人発動か?と、ワクドキのわたくしです。
軍人役と言っても、陸軍歩兵部隊の将校とかだったら死ぬほど似合わないし、まあキャスティングされることもないだろうけれども、情報将校ならあり。と云うか、似合うと思うのだ。

共演は中村獅童、ユースケ・サンタマリア、福士誠治、八千草薫など。獅童とは「新選組!」、「実録小野田少尉 遅すぎた帰還」に続いての共演、ユースケとは舞台での共演しておりますね。

いやあ、それにしても凄い勢いだねえ。
昨年の「ラッシュライフ」、「南極料理人」、「クヒオ大佐」、今年に入って「ゴールデン・スランバー」、年末公開予定の「武士の家計簿」に引き続いての主演です。
昨年は、準主役/実質主役の「ジェネラルルージュの凱旋」もあったしねえ。
ここ数年の間にこれだけの回数、映画での主演を張っている俳優って、他にはいないんじゃないかと思われます。
大作映画の脇役(壬生義士伝、ハチクロ)→大作映画の重要な脇役(クライマーズ・ハイ)→アート系など小品、佳作の主役(壁男、ジャージの二人)→大作映画の準主役(アフタースクール、ジェネラル・ルージュ)→またまた大作映画の主役!
うーん、まさに出世魚の如き(?)、怒涛の映画出演歴ではないか!
どの作品に出演しても、どんな大作で主演を張っても、奢ることなく常に真摯に演技と向かい合う彼ですから、スタッフや業界関係者のウケも相当良いのだろうけれども。しかし、役者としての堺雅人の素晴らしさがあってこそのキャスティング、なのも当然な訳で。
ああ、堺雅人ファンやってて良かったなあ。新選組!で、山南敬助に出会って本当に良かったなあと、つくづくシミジミしてしまった春の一日でした。

さて、タイタンの感想を煮詰めるとするか。ぐつぐつぐつ…おでん(もう、いいってば)。

等身大の男の逃走劇〜「ゴールデンスランバー」

    2010.02.12 Friday| 23:50 |
長引きに長引いた風邪がようやく落ち着きをみせた先週の土曜日、「ゴールデンスランバー」の鑑賞がようやく叶いました。

この映画、堺雅人の主演作としてはこれまでで最大規模の公開なんじゃないかなあ。
宣伝もなかなか派手で、お金もそこそこ掛かってて、テレビCMも頻繁に流されてたし、堺雅人をはじめとする出演者のテレビ出演も多くて追いかけきれないくらいだったし。
ほとんどのシネコンで上映されているので、「新宿で単館上映、しかもレイトショーのみだとお?観にイケネーよ」と泣いたり(壁男)、「お盆を挟んだ真夏の恵比寿で単館上映、時間も体力も無いぜ…」と諦めたり(ジャージの二人)しないで済むのが、まことにもってありがたい。

話題作の第二弾だった「ジェネラルルージュの凱旋」や大作「クライマーズ・ハイ」はもちろん上映館も多く宣伝も大掛かりだったけど、あれらは堺主演作ではなかったしね。いや、厳密に言えばジェネラルは堺雅人主演と言い切ってしかるべきだろうが一応は違うしね。
アフタースクール」は作品の完成度は高いし面白いし主演三人(厳密には大泉洋主演なんだろうが、あえて)も良かったけど、案外、上映館は少なかったはず。勿体無いねえ。
主演作「南極料理人」は派手さは無いもののとても良い映画だったけど、これまた上映館は少なかった。テレビや雑誌の映画評では結構取り上げてくれて、嬉しかったけど。
クヒオ大佐」は幸いにもたまたま近場で上映されたけど、世間的にはさしたる話題にもならず、上映館は南極以上に少なかったような。
この映画、きちんとした感想を書いてないのは、楽しみにしてた割には「うーん…」だったから。堺雅人主演じゃなかったら、正直「うーん…」ってレベル。テーマは興味深いし、役者陣は揃って好演してたんだけど、作品の仕上がりとしては不満が残る映画だった。
地味だけど上質な素材(役者)を集め、ちょっと珍しいけどよーく味わえばつくづく美味しい大人向け料理(ヒネリと諧謔と趣きのある作品)を作ろうとしたのに、調味料と味付けを間違えちゃってトンデモ料理になっちゃた、そんな感じ。これまた、勿体無いねえ。
ラッシュライフ」は…まことにもって申し訳無いが、学生さんの企画作品ということで、都内まで出張る根性がおきなかった。すまん。
でもって、こういうところで私は自分が真のファン、真のマニア、真のオタクにはなりきれないと思ったりするのでした。ついつい、対費用効果を考えてしまう。
この場合の「費用」はお金じゃなくて、「時間」とか「体力」とかなのだけれども。

話が横道に逸れ出したので、ちょいと軌道修正。よっこいしょっと。

と云うことで、今回の「ゴールデンスランバー」は実にストレートな意味での「話題作」と言えるかと。
なんつったって「イケメン俳優」主演ですからね!(笑) 私が言ったんじゃないよ、「おしゃれイズム」で司会者がそう紹介してたんだよ。
しかし。個人の主観だけど、堺雅人という存在とイケメンと云う表現は間逆ではないかと思うのですよ。
端正とか整った顔立ちと表現されたらうんうんって頷くし、美形と表現されてたら、うぷぷって喜ぶけど、イケメンはいかんよ。俳優やってるくせに、あれほど自分を格好良く見せようという意識の無い人には全くもって似合わない形容詞だもん。

きゃんさん的、イケメンの定義:
他人がそう思うのと同程度に自分自身が格好良いと自覚があり、格好悪くならない程度に格好つけることが出来る人。
服のセンスが良くて流行のファッションをさらりと着こなせるか、そもそもスタイルが抜群なのでTシャツとジーンズでも十分格好良く見せる自信がある人。
運動神経が良い、または運動神経が良さそうに見えることも必須。
多少、お水っぽい雰囲気を漂わせている。または、スポーツマン風(あくまでも「風」であって、そうでなくてもよい)である。


ほーらね、堺雅人はイケメンではないのだ。うん、うん。
ファンにあるまじき発言であることは合点承知だけど、堺雅人の魅力を語るのにイケメン俳優と云う軽い言葉は似合わんもん。とことん似合わん。
単に演技派俳優と表現してもいいけど、笑ってないと実は大きな二重の目や通った鼻筋が勿体無いので、知的美人、と言う言葉が似合うのではと思うのだが、如何?

…腐った発言はさておいて(話が前に進まないじゃないか!)。

映画公開前の華やかな宣伝活動や公開後もテレビ出演に勤しむ堺雅人の姿を観ては、「こんなに立派になって」と密かにウルウルする私がいたのは、冗談のようだが本当の話。
田舎のお母さんとか昔の担任の先生みたいな発言だけど、大河ドラマ「新選組!」またはそれ以前からの堺ファンは、結構同じような心境だったんじゃないかなあ。

「新選組!」の山南さんで一般的に名前が知られるようになり、一部のマニアックなファン(含む私)から熱狂的な支持を受けるようになり、当然ながら大河以降の出演作に超期待したのだけれども。
民放各局の扱いが、あんまりアノソノでねえ(涙)。
「あの!山南敬助を演じた堺雅人!」的に番宣した割にほんの脇役、添えモノだったり、ファンですら途中で観るのが嫌になるような〇〇な(←クリームソーダを縮めていってみてくれい)ドラマに使いやがったり。
いや、それまでは年に1本程度しか出てなかったテレビドラマに頻繁に登場するようになったんだから、堺雅人本人はそうは思ってなかったと思うんだけど。何せ、「来た球は打つ」のが身上の人なので。
でもねえ、いくらファンでも「孤独の賭け 愛しき人よ」と「氷の華」は酷かった。再放送したって、二度と見返すもんか。あ、クリームソーダをバラシちゃった。
予想外に良かったのが、漫画が原作の「ヒミツの花園」なんだよね。男四人兄弟の長男役っていう設定が個人的ツボだったののかもだが。わはは。

いつも通り話がずれまくってますが、要するに公開を嬉しく楽しく待ち望んでいたと。そう云うことが言いたかった訳です。長いですねえ、文章の無駄遣いですねえ。
でもって、いよいよ本題です。

…その前に。以下の記事はネタバレ超満載です。
映画未見の方には申し訳無いのですが、ネタバレ無しに感想を書くと、十行くらいで終わっちゃいそうなので。
ネタバレは嫌よ!の方は、回れ右。今週末にお宅の近くのシネコンで「ゴールデンスランバー」を観てから、読んでくださいませー。



「ゴールデンスランバー」(2010年、日本)

首相の凱旋パレードが行われているそのすぐ近くで青柳は、大学時代の友人・森田と久しぶりに再会していた。様子がおかしい森田。そして爆発音。首相を狙った爆弾テロが行われたのだ。「逃げろ!オズワルドにされるぞ」。銃を構えた警官たちから、反射的に逃げ出す青柳。本人の知らない“証拠映像”が次々に現れ、青柳は自分を犯人に仕立てる巧妙な計画が立てられていた事を知る。青柳は大学時代の友人たちに助けを求めるが…(goo映画より、引用)。


いやあ、実に面白かったです。堺主演というファンフィルターを取っ払っても、十二分に面白く満足できる映画。139分もある映画なのに、全然長く感じなかった。
淡々と始まったオープニングから一転、あれよあれよの内に首相暗殺犯人に祭り上げられる主人公の姿と怒涛のストーリー展開、手に汗握ってあっという間の二時間二十分でした。
冷静に考えてみると、主人公・青柳雅春が陥れられる理由やそのやり口など、そもそもの設定自体がかなり無茶苦茶だし、青柳を助ける人物たちとの出会いや話の展開は偶然に頼りすぎる箇所が多く、本当なら観ていて違和感を感じるんじゃないかと思わないでもないんだけど、ところがどっこいそうじゃないんだよねえ。

物語に絡め取られ、映画世界に惹き込まれてしまう。
有り得ない展開も偶然の出会いも、そんなことも有り得るよねって思わされてしまう。

息も吐かせずジェットコースター的に物語を進めて観客に考える暇を与えない手法かと思うと、そうでもないところがこれまた憎いのです。
ストーリー展開に緩急が効いていて、あれよあれよの箇所ももちろん多いんだけど、回想シーンを中心としてゆったりまったりしたシーンも結構ある。
普通なら、まったりシーンで観てる方の気持ちも落ち着いてきちゃって、「ちょっと待てよ、さっきのあの出会いは無理があるよね」とか脳裏を掠めたりするもんなんだけど、私はいつもはそうなんだけど、この映画についてはそういう風にならなかった。
なんでかなあと考えてみた結論として、物語の進行が実にナチュラルに感じさせられることがその要因の一つなんじゃないかと。
堺雅人のインタビューによると、仙台市内を青柳雅春が逃げるシーンでは、実際にその場所を移動する時間に準拠して作られているらしい。それだけに映像にリアリティがあって、観てるこちらもまさに手に汗握る状況に陥ってしまう。
そして、青柳雅春を演じる堺雅人の演技がこれまたナチュラル。走る、飛び降りる、戦う、抗う、怯える、泣く、笑うなどなど、全ての演技が演技を超え、等身大の生身のリアルな男の姿に見える。
これまた本人の言だけど「アクション俳優でない俳優のアクションを見てください」。
映画やドラマでよく見る計算されたアクションとは掛け離れた、格好良くなくて、むしろみっともないくらいで、しかし生き延びることに必死な一人の男の天然自然な肉体の躍動、心の叫び。
愚直なまでに人を信じようとする青柳の姿は観ていてもどかしくもあるのだけれども、同時に彼のその真っ直ぐな心こそが、青柳を助けようと奔走する人々の原動力でもあるんだろうなと思う。
スクリーンに映しだされているのは役者・堺雅人ではなく、仙台で青春時代を過ごし大学を卒業し今は宅配ドライバーとして堅実な生活を営んでいる、青柳雅春という一人の青年でした。

主人公以外の登場人物たち、それぞれのキャラが立っているのも印象的だった。
物語の都合に合わせるための薄っぺらなカキワリ的人物が、ほとんど出てこない。特に青柳サイドの登場人物たちは皆、それぞれのキャラクターがそれぞれの人生を背負い、泣いたり笑ったり喜んだり怒ったりしながら日々を生きてきたんだろうな、そんな風に思わせてくれる描き方が成されている。
青柳を助けようとする元恋人樋口晴子の、しなやかなしたたかさ。
青柳を無実の罪に陥れたという負債を心に抱いたまま、爆死する森田森吾の悲哀。
青柳同様、突然の嵐に巻き込まれながらも、友人へ向ける優しさや気遣いを失わない小野一夫(劇団ひとり)。
息子を信じ続ける青柳両親の、地に足の付いた真っ当ぶり。

特に興味深かったのが、偶然の出会いから青柳を助けるキルオの存在です。
映画冒頭から、その存在がチラチラと見え隠れすることから重要なキャラクターであるであろうとは思っていたんだけど、まさか本当に通り魔だとは。人を刺したり殺したりすることに何のためらいも感じない、ある種のサイコキラーだとは。そして、そのサイコキラーが「単なるきまぐれ」で青柳を助け、そしてそのために死んでゆくとは。…まさか、思わないよねえ。
生ぬるい物語にありがちな、実は本当は良い人間だったとか、実はその行動には裏があってとか、そんなのなーんにも無い。善悪の観念が全く無い、無邪気に人を殺し、無邪気に青柳を助ける男。
下手したらまさにご都合主義のカキワリキャラに成りかねないキルオというこの人物が、しっかりとした骨格をもった人間として描かれていたことが、この物語におけるキャラクター描写の巧みさを表していると思う。

そしてやっぱり何よりも、本来の物語が持っている圧倒的なまでの力強さ。これれこそが、映画の成功のとにかくの第一要因なんじゃないかと思われます。
とにかくストーリー全体の構成が素晴らしい。伏線の貼り方と回収が見事この上無し。登場人物それぞれに存在意義がありキャラ他立ち、書き割りのような薄っぺらさなどどこにもない。
青柳が首相暗殺犯人に祭り上げられる過程は一見して荒唐無稽のようでありながらも、絶対に無いとは言い切れない恐ろしさがあります。そして観客にそう感じさせるのは、物語冒頭で青柳の友人である森田森吾(吉岡秀隆)の語る「お前、オズワルドにされるぞ」の一言故なんです。いやあ、見事だ。台詞一つにすら全く無駄が無い。
青柳が犯人と認定される証拠物件の一つとして、防犯ビデオに青柳の姿が写っていたというシーンがあります。
観ている時は、「今時なら、ビデオなんていくらでも合成できるじゃん」と思いまして。そしその後、青柳そっくりに整形した偽者の存在が判明する展開では、「わざわざ関係者を増やしたら、虚構が決壊しやすくなるだけじゃない?無駄、無駄」と思ったのですが。
ラストで、ああ、そうですか、そう来るのねと。上手いなあ、あれもこれもぜーんぶ伏線だったのねと。
完璧に、してやられました。
勧善懲悪とは決して言い切れない、実に切ない終わり方には、違和感や反感を持つ観客もいるんじゃないかと思う。でも、この物語が物語ではなく本当にあったことだとしたら、この終わり方は至極ナチュラルなんじゃないかとも思う。
青柳がヒーローになることの無い物語の終結は、例えばハリウッド映画だったら有り得ない。
でも、それならオズワルドはどうだった? 死刑判決を受けながらも冤罪を訴え続け、なぜか刑が執行されないままに獄中で無くなった某死刑囚はどうだった?
そう、何の力もコネもバックも持ち合わせていないごくごく普通の一般人が、知恵も力も持っている悪人を、ましてや国家権力を敵に回して勝利を収めることなんて有り得ない、それこそ荒唐無稽なおとぎ話に過ぎないのです。
青柳に掴み得る唯一の勝利は、とにかく生き延びることでしかない。そしてそうした意味では青柳は、見事勝利を勝ち取るのです。
「格好悪くてもみっともなくてもいいから、生きろ」
死んでしまった森田に、そう言われた通りに。

鑑賞後、実に切なく物悲しい気分に囚われてしまった。
幽霊のような存在となってしまった青柳は、決して短くはないであろうこれからの人生をどのように生きていくんだろう。
家族からも友人からも切り離され、幽霊である以上、新しい人間関係も仕事のキャリアだって築くことは出来ない。社会の隅っこもしくは裏の裏側で、影のように目立たぬように生きていくしかない。
それでも青柳はきっと生きていくんだろうな、とも思う。彼を支えてくれた人々の心を、宝物のように抱えこみながら。

二点ほど、気になった箇所が。
序盤で、青柳の元恋人である樋口晴子が事件を知るというシーンなんだけどが、リアルタイムで爆発を目撃するのね。ところが映画の展開上では、既に青柳は犯人に擬せられ逃げている真っ最中。
要するに映画上で時間軸が少し戻るんだけど、ここがねえ、ちょっと気になった。
過去のシーンが何度も挿入されるし、時間軸を前後させている箇所は他にもあったんだけど、現代の仙台でのシーンは基本的にリアルタイム進行だっただけに、ここだけどうにも違和感があって。
同時進行的な流れに編集すべきだったのではないかと。

もう一つが、青柳を助けようとする会社の先輩が作ったシナリオ。
何故、ダンボール箱に詰めた青柳をそのまま県外に運び出さず、あんな一か八かみたいな作戦を選んだのか。たまたま上手いこと逃亡に成功したけど、あんなに多くの警察官を相手にしたら逃げ切れる可能性のほうが圧倒的に少ないと思うのだが。
多分、検問が厳しくて宅配便の荷物も全部チェックされそうだから、とかの理由があったんだと思うんだけど、もしくは、ビルで出会った会社社長に通報された、とかね。それならそれで、ほんの数秒でもいいから説明台詞なり、そうした内容の映像をはさむべきだったと思う。
「お前を警察に引き渡す」と云ってからの暗転は、CMを挟んだり続きはまた来週のテレビドラマなら有効だけど、映画の手法としてはちょっとあざと過ぎ。ほんの数十秒後にネタばれするんだから、意味が無い。

とまあ、二箇所ほど重箱の隅を突っついてみましたが、映画全体に響くような瑕疵では全くありません。
手に汗握ってハラハラドキドキして、権力者の横暴に心の底からムカついて、人を信じることの尊さや無私の心に感動して、ホッとして、切なくなって。
映画を観ることの喜びや楽しさを沢山堪能できる作品。出来れば映画館のスクリーンで是非ご覧あれ。

食べる喜び、生きる楽しみ〜「南極料理人」その2

    2009.09.03 Thursday| 23:57 |
やっぱり一回では終わらなかった、「南極料理人」レビュー。
月も変わってヴィゴにも動きが出てきたみたいだし、ダニエルとヒューの共演舞台の話題にも触れてないし(ウチはそもそもダニエルがメインだったはずだ!)、その上、別件でも書きたい記事があるって言うのにー。

と云うことで、南極料理人の続きをいくぜい! 
本日もネタバレばんばん、いかせていただきます。
それでもって腐れたファントーク イヒヒ もじゃかじゃか入るかと思われますので、お嫌いな方はダッシュで逃げてね♪ 
苦情は受け付けませんぞ。



出てくる料理がどれもこれもめっちゃ美味しそうであることは、先の記事でも書いた通り。
映画冒頭の和の夕食フルコースも、具沢山おにぎりに熱々の豚汁が美味しそうなのは言うまでも無く、隊員一同が「やっぱ、刺身だよね…」と宣いやがり、西村が内心で拳を握り締めた伊勢エビフライも、それはそれで美味しそうだったし。
ちゃーんと西村は、「頭のミソはタルタルソースの隠し味にしてみた」な訳で、工夫してるしね。
もっとも、いきなりソースを掛けられちゃったけどね。せっかくのタルタル、意味無しだったけどね。



タイチョーの、そして皆の喜ぶ顔が見たくて、工夫して作った醤油ラーメン。元さん誕生日のご馳走料理、血の滴るような厚切りのローストビーフ。手早さと火力が美味しさの秘訣!なチャーハンやレバニラ炒め。ミッドウィンター(南半球の冬至)祝いのフルコース。本当にどれもこれもスクリーンから匂いが漂ってきそうで、涎が垂れそうなくらいに美味しそうで。
でまあ、唯一美味しそうじゃない料理が、例の「ベチャベチャ空揚げ」なんですが、あれはあれで実は凄く美味しそう…と云うか非常に美味しいシーン。
ベッチャベチャの胃に凭れそうな空揚げが登場するシーンのどこが美味しいって、そりゃあ、前回記事のラストで触れた堺雅人演じる西村でございますがな。
口の中一杯に空揚げを頬張って、リスみたいに頬を膨らましてモグモグってだけでやたらめったら可愛かったのですが、挙句に大笑いしながら、そして手放しで涙をポロポロ零してって…うっわっ、なんだその可憐さ。
堺雅人35才、なんでこんなにカワユイのでしょうかっていうくらいに可愛く見えてしまったんですが、一体どうしてくれよう。
ま、要するに堺雅人ファンとしては、彼の演技者としての実力と同時に可愛くて可憐な姿も堪能できてとっても美味しいシーンだったと主張したいがだけなのですが、俳優・堺雅人としても、その演技の幅と力量を遺憾なく発揮できたという点で、とっても美味しかったのではないでしょうか。

おにぎりギュッギュッを代表として、料理のシーンは実際に堺雅人が料理をしている姿をじっくりきっちり映しています。食材と手のアップから始まって全身をパンするカットが多いので、専門の料理人の手元と堺雅人の演技を繋いだシーンはほとんど無いか、もしくはごく少ないと思う。
それでもって、料理シーンでは顔のアップ、しかもドドドアップがやたらと多い。
テレビのインタビューで聞いたんだけど、料理のシーンでは演技と言うより目の前の料理に真剣になってしまっているので、自分でもこれまでの役柄では演じたことの無いような表情を結構見せてしまったと思っているとか。



個人的見解ですが、堺雅人はどこからどうみてもケチの付けようが無い美形と云うタイプでは決して無いと考えております。実際、美男俳優とは言われるタイプでは無いし、イケメンなんていう言葉は絶対に似合わないし。
でもね、今回の映画でスクリーン一杯に広がった顔は非常に端正でした。アップに十二分に耐えるお顔立ちだと力説したい。
彼の顔をよくよく観察すると眼は二重瞼で大きいし、アイドルの必須条件といわれる涙袋も大きい。でも、眼を細めたり笑ったりしている表情がデフォルトで、そうでなければ眉間に皺を寄せていたりするんで、その眼の大きさ具合に意外と気付きにくかったりする。
鼻筋も通っているし小鼻も形よくまとまってるし、顎が細くて顔の輪郭線もすっきりしていて、肌も綺麗。ちょっとガチャ歯なので口元に難ありと言われているけど、全体として整っているのは確かなんですね。
それなのに美形とかハンサムとあまり評してもらえないのは、本人に自分の容姿が整っているという自覚が薄かったり、格好良く見せようとか格好つけようと意識がほとんど無いのが大きいのではないかと推測する訳です。。ついでに、ファッションの流行にも全く疎いしなあ。
「新選組!」で注目され始めた頃の堺雅人って、私服のセンスがヒドイと、ファンの間では密かに有名でした。
地味な上に、非常におっさん臭くてダサい格好を好む。好んでるわけじゃないと信じたいが、はっきり言って、眼も当てれられないほどひっどい格好をする時がある。
「新選組!」で注目されだした頃、黒のタートルネックに茶色のチェック柄のジャケットと言う、80年代のおじさんの休日みたいな服装でテレビのインタビューに答えてるの眼にした時なんて、思わず気が遠くなりかけましたから。
まあねえ、最近の愛読書は論語とか、素で言っちゃう人だからね。
あー、今頃ヴェネチアに滞在中の誰かさん は、気分転換にヴィトゲンシュタインの哲学書を読んでるとか聞いたなあ。なんか、キャラが被るなあ。はっきり言い切れるのは、誰かさんと堺雅人の共通項として、ファッションやら流行やらというものに全く興味関心が無いってことでしょうかねえ。
誰かさんと違って堺雅人の場合はスタイルや体型は並だけど、誰かさんと同様に顔立ち自体は整って綺麗なんだから、もっと、自分自身の見かけに関心を持てばいいのにねえ…(ブツブツ)。
えーと…何の話してたんだっけ?(←ヲイ、コラッ!)
話がいつも通りそれまくりましたが、とにかくこの作品ではこれまでに無く顔と、そして手元のアップが多い。堺雅人のファンにはそういった意味でも必見と言い切ります。

堺雅人から少し離れて、映画全体のお話も少々。
南極のドーム基地での生活、きつい労働と単調な繰り返しの日々の中で、一番大きな喜びが食事であるということは第一回の記事の中でも触れました。
そしてそれ以外でも、人間が生きる上では日常の中の小さな喜びや楽しみが大切なんだな、それが心の栄養なんだなとつくづくと思わされるシーンが沢山出てきます。
赴任当初は麻雀やビデオ鑑賞で時間を潰していた面々。しかし、狭い基地内で同じメンツで日々同じようなことを繰り返していると、どうしたって飽きもくれば、鬱屈も溜まってきちゃいます。
そして、徐々に南極生活に慣れてくる内に皆がそれぞれ工夫して、屋内ボーリングをしてみたり、屋外の雪上にイチゴシロップで線を引き、4対4の野球大会を開催したりと云ったことをしでかし始めます。
交代で素っ裸で屋外に出る、などと云う、何が楽しいんだか一歩間違えたら凍死しちゃうぞ的なお遊びを笑い転げながら皆でやってみたり、何かと器用で変なトコでマメなドクター(豊原功補)は、基地の一角でカクテルバーを開いちゃうし(最初は酒屋の前の立ち飲みスペースみたいだったのが、後になると何故か看板まで出来ちゃって妙に本格的)。
今居るメンツと、今ある物と、これだけしかないスペース(屋外はほぼ無限だけど)を工夫して、自分たちで楽しみを作っていくくだりは、観ていて非常に楽しいです。
大分違うんだけど、ちょっと思い出したのが、「家族ロビンソン」の物語。アニメにもなっているのでご存知の方も多いでしょうが、難破して絶海の孤島に流れ着いたロビンソン一家が、困難な生活の中で支えあい知恵を振り絞って生き抜いていく、と云う物語です。
子供の頃に読んだこの本が、私はとても好きでした。何が好きって、ロビンソン家のお父さんが様々な道具を造っては、徐々に人間らしい生活環境を整えていく過程が面白くって。ゴムの木から採取したゴム液と靴下を使いゴム長を作るシーンなんて、今でもはっきり覚えているくらいです。
無いところで工夫して似たような物を作ることや、その作る過程を見ることって、程度の差こそあれ、皆好きなんじゃないかなあ。そっくりだけど違うモノとか、そっくりに作り上げたモノとかも、皆、好きでしょ?
箱庭とかミニチュアとかドールハウスとかが好まれる感覚とか、もしくは物まねだったりそっくりさんだったりが持て囃される感覚とかも、違うようで近い感覚だと思う。
上手く表現できないんだけど、人間誰しもが持っている原初的な嗜好の一種と云うか。
そういった嗜好を非常に擽られる映画でもあると、わたくしは主張したい。

単調なようでいて、隊員それぞれ様々なことのあった南極生活。
映画のラスト近く、一年半の赴任期間がそろそろ終わりに近づいたシーンでは、西村の風貌が最初の頃とは大分違ってきています。
髪が伸びたのはまあ、当たり前。肩に付くか付かないかくらいまで伸びた髪がうっとうしいのか、後頭部の一部の髪をゴムでくくってます(部分カツラを使ってるんだと思うけど、可愛かった)。毎日剃るのが面倒になったのか、無精ひげまで生やしてます。
最初の頃は制服らしい紺色のシャツにシェフエプロンを巻いていたのに、今や、適当なスウェットシャツを着用。しかも、その上には割烹着を着てます。
どこの、オカンだよ!って内心で突っ込みを入れながらスクリーンを観てたら…その後の食事シーンでは、まさにオカン状態だったのには笑いましたねえ。
朝ごはんのシーンなんですが、隊員一同が、まるで擬似家族のようになっているんです。
西村はまさにお母さん。割烹着つけて家族のご飯を作って食卓に運んで。
お母さんがいるならお父さんは元さんです。食卓にどっかと座り込み新聞を眺めてます。朝の挨拶をしようとしない主任は不出来な不良息子ってとこでしょうか。元さんが「おはようは?」と叱り付けても、てんで無視。いきり立つお父さん=元さんを、まあまあと宥めるタイチョーはお爺ちゃんかお婆ちゃん?
お父さんと息子のいがみ合いをスルーし朝食の準備を進めるお母さん=西村、せっせと助けるドクターはしっかりものの長女でしょうか。雪氷サポートの大学生・兄やんはやっぱり末っ子ってとこでしょうねえ。
なんだか無理矢理に当てはめてない?と観てない方は思うかもですが、映画全編を観て、ラスト近いこのシーンでは本当にそんな風に見えるんですってば。
ありきたりな表現ですが、一年半苦楽を共にし困難や葛藤を乗り越えてきた彼らの中に、いつのまにか築かれた、まるで家族の如き絆を象徴するシーンなのではないかと思うのです。

そして遂に帰国の日がやってきます。家族や知人、大切な人々との再会。そして、一年半の南極生活など無かったかのように、かつての平凡な毎日がまた西村の人生に戻ってきました。
ある日、西村は家族と一緒に遊園地に出掛けます。奥さんが買って来た照り焼きバーガー。決して美味しそうに見えなかったそのハンバーガーに齧りついた西村が一言。
「美味っ!」
大量生産のファストフードのハンバーガー。西村が南極で作り続けた料理に比べたら、手間も掛かっていなければ、特別な心が籠められているものでもないはずのジャンクなそれを、西村は「美味っ!」と感じる。
愛する人々と過ごす平凡で普通な毎日、その日常の中で共に食べる食べ物こそ美味なるもの。
このラストシーンではそう云ったことが表現されていたのかもしれません。

南極では風邪は引かない〜「南極料理人」その1

    2009.08.30 Sunday| 23:57 |
先日も記した通り、全国公開初日の8/22に、「南極料理人」を観てきました。…って、もう一週間以上も前ですね、済みません。
面白くて良い映画で堺雅人もたっぷり堪能できて、すっかりいい気分になり、最近では珍しくちょっと多めにお酒を飲んだりしたら…風邪を引いて体調崩しました。うー。撃沈
新型インフルエンザじゃありませんから! ただの夏風邪ですから! 皆々様、ご安心をば。
…って、インターネット回線を通じてウィルスが移るわけも無いけど、この魔法の箱パソコン(=PC)の向こう側に座ってる誰かさんが、それが例え顔も知らない人であったとしても、今現在新型インフルに罹患しているって考えるのはあんまり楽しく無いだろうしねえ。風邪ならいいのか?えっ?と言われてしまったら、お返事のしようもございませんが。
ま、要するに、映画館の冷房にちょっくら負けてしまったと、そういうことです。決してお酒の所為ではありませぬ(濡れ衣着せたら、お酒様に失礼)。
館内でブランケットの貸し出しをやっているんだから、前もって借りてくれば良かったんだけどね。ちょっとの油断が、風邪を招いちゃったよ。夏の終わりの油断しがちないこの季節、皆々様もお気をつけくださいませ。
それにしても、南極を舞台にした映画を観て風邪を引くなんて奇遇…なのか?
「風邪なんて引くわけないでしょ。ここにはウィルスなんていませんよ」というのは、「南極料理人」での堺雅人演じる主人公・西村淳の台詞です。平均気温氷点下50℃以下と云う南極のドームふじ基地周辺には、ペンギンもアザラシも、風邪のウィルスですら生息出来ないんだとか。
と、上手いこと(?)話を映画のほうに引き戻したところで、遅ればせながらの「南極料理人」レビュー、始まり、始まり。

注意! 
ネタバレとか、あまり関係無いと言えば無いような内容の作品ではありますが(←駄洒落ではない)、それでも自分の眼で観るまでネタバレは絶対イヤンの方、ブラウザバッグにてお願いいたしまっす!



「南極料理人」(2009年、日本)

生物はおろか、ウィルスさえ生存できない厳寒の南極ドームふじ基地に、8人の男たちが観測隊員としてやってくる。
雪氷学者の本さん(生瀬勝久)、気象学者のタイチョー(きたろう)、医療担当のドクター(豊原功補)ら、個性的なメンバーが集う中、海上保安庁から出向した西村淳(堺雅人)の仕事は、隊員のために料理を作ること。
時には贅沢な食材を用い手間隙かけて作った料理を、時にはおにぎりと熱いトン汁を、全員そろって一緒に食べる。みんなの顔がほころぶのを見ると、何にも替えがたいうれしさがある。
遠く離れた日本では妻と8歳の娘、そして生まれたばかりの息子が待っている。ふとした瞬間に頭をよぎる家族との思い出。14,000キロの彼方にいる家族を思う、究極の単身赴任はまだまだ続く。
観測隊員たちを待ち受けていたのは、日本の暮らしとはかけ離れた想像を絶する南極生活。
悪戦苦闘の毎日の中で、次第に絆を深めていく隊員たち。笑いもすれば怒りもする。騒ぎたい日もあれば泣きたい日もある。でも、美味しいものを食べれば元気が出る。料理がつなぐ人間のドラマは、こんなにも笑いと愛おしさにあふれている!(公式サイトより抜粋&加筆)


南極の基地と言えば昭和基地が有名ですが、この物語の舞台となるドームふじ基地は昭和基地から内陸へ1000km、年間の平均気温が−54℃、最低気温は−70℃と云う酷寒の地。しかも、富士山よりも標高が高く、空気も薄い。
生物が生存する上では最悪の環境なので、南極と言えば付き物のペンギンやアザラシの可愛い姿などある訳も無く、それどころかウィルスすら存在しないんだとか。
そんな場所で男ばかりが8人で過ごす一年半の越冬生活、てんやわんやな日々の出来事を丁寧にリアルに、そしてちょっぴり面白可笑しく描いた作品がこの「南極料理人」です。
てんやわんやとは書いてはみたものの、大事件が発生するわけじゃない。極悪人も出てこなけりゃ涙が止まらない感動のエピソードがあるわけでもない、言ってみれば淡々とした日常を描いた映画なのですが、淡々としているからと云って地味で面白みが無いということでは全然ありません。だって、南極で生活するのって実に実に大変なのですよっ!(←拳を握り締め)
例えば、人間が生きる上で一番重要なのが水。飲んだり調理に使うのはもちろんだけど、いくら南極在住でも顔は洗いたいし、たまにはシャワーも浴びたい。
水?周りに雪でも氷でも幾らだってあるじゃない?って、お軽く考えがちですが、その雪や氷を溶かす作業が大変なのです。水タンクの残量が少なくなったら隊員総出で雪を掘り、運び、溶かすための水槽に入れるのは、空気が薄くてすぐ息が切れるこの場所ではかなりの重労働。
基地での越冬は氷雪や気象観測と云う目的があってのことですけれども、それ以外、生活を営む上で必要な労働の比重もかなり高いようです。
そして日々の労働の後には気分転換したい遊びたいと云うのが人情ですが、ここは南極、外に遊びに出るわけにもいかない。気軽な娯楽の王道たるテレビも映らないのでビデオ鑑賞、後は麻雀や卓球がせいぜいという生活の中で、大いなる喜びをもたらしてくれるのが毎日の食事なのです。
さあ!お待たせしました! 我らが堺雅人演じる西村淳がいよいよ登場ですよ♪

さてさて、南極での食事ですが、あらかじめ計算の上で必要量だけの食料を運び込んでいるとは言え、一年半の長きに渡り補充が出来ない以上、もろもろの制限があり不自由なのは当たり前。
食料のほとんどは冷凍食品と乾物と缶詰、せめてもとばかりに屋内で野菜を育てることに挑戦してはみるものの、育つのはせいぜいカイワレとモヤシぐらい。
そんな環境下において料理担当・西村が、皆に少しでも美味しい食事を供すべく奮闘努力をするというのが、この物語の最大の見せ場です。
出てくる料理はどれもこれも実に美味しそう。作品内での最初の食事のシーン、西村が丁寧に切り分けて繊細に盛り付けたお刺身をメインに、煮物や漬物やらの小鉢が食卓一面に並べられた和の夕食、日本の食卓、さあ、召し上がれ。
ところがねえ、隊員一同の食べ方の酷いことと言ったら。がっつくは、搔っこむは、美味しそうなブリの照り焼きにいきなり醤油を掛けるヤツまで現れるわ、それを眼にした時の西村のポカーンとした顔がなかなかの見ものです(要するに可愛かったのー)。
まあね、男所帯で格好付けたい相手がいる訳で無し、一日過酷に働いた後の食事くらい好きに食べたい!食べさせろ!と云うのは判ります。男子寮とか運動部の合宿とかの食事って、こんな感じなのかしらねえ。
「食事を眼でも楽しむ」なんてことはおろか、「じっくり味わう」という言葉すら日本に置き忘れてきてしまったような一同の食事ぶりですが、彼らが食べることをおろそかにしたり、軽んじたりしている訳ではもちろん無いのです。
ラーメン大好きな気象学者のタイチョー(きたろう)は、夕食の後に夜食と称してインスタントラーメンを盗み食い(?)、8ヶ月以上の滞在期間を残してラーメンを食べ尽くしてしまいます。ところが、いざ、ラーメンを食べられなくなったタイチョーはすっかり元気を無くし、しょんぼり。
インスタントラーメンだのポテトチップスだの、こういうジャンクな食べ物って、時にどうしても食べたい!何が何でも食べたい!って云う気分になるってことあるじゃない? カロリーは無駄に高いし添加物だって多いし、身体にいいことは何にもないんだけど、無性に食べたくなる瞬間って必ずある。判る判る、タイチョー、自業自得だけど気の毒だー。
しかるべき材料が無いと云っていた西村でしたが、氷雪学者の元さん(生瀬勝久)の助言を受け遂にラーメンを作り上げ、食卓に供します。
しょうゆ味スープに縮れ麺、チャーシューにメンマが載ったラーメンラーメンを前にした一同、いただきますの合図と共に飛びつくように麺を啜り、具を頬張り、スープを飲み干します。
皆が夢中で必死でラーメンを食べる、その姿を嬉しそうに見つめる西村の表情はどこか誇らしげで、慈愛すら感じられます。

そしてある時は、屋外作業中の隊員たちへのお昼ご飯として炊き立てのおにぎりを沢山握り、舌が火傷しそうなくらいに熱い豚汁を作る西村。おにぎりの具はシャケや梅干、大当たりのイクラなどなど、これまた皆が嬉しそうに美味しそうに齧り付くんですよね。
このおにぎりのシーンについて、堺雅人は以下のように語っております。

──もっとも上手くいった料理は何ですか?

おにぎりのシーンをぜひ観てください。今回自分の隠れた才能に気付いたんです。それは、僕はおにぎりを握るのが上手いということ(笑)。
三角形のエッジが効いていて、全体的に肉厚で、男の僕が外で1日作業をしていたら食べたくなる感じなんです。(談:堺雅人)


ええ、ホントに上手でした。少し多めに取ったご飯を両手でキュッキュッギュッ、具を入れて海苔を巻いてトントコトンと手際良く、おにぎりの隊列おにぎりが出来ていくのです。
実際、観終わった後にもっのすごくおにぎりが食べたくなったくらい、西村の握ったおにぎりは美味しそうでしたよ。



伊勢エビのエピソードも面白い。何故だか保存食料の中に伊勢エビがあることが判明し、隊員一同ウッキウキ。それなのに、何故だか一人がエビと言えばエビフライ!なんて言い出したもんだから、さあ大変。
料理担当としては一番美味しい食べ方は刺身!と主張するものの、皆の頭の中はエビフライで一杯。そうなったからには、料理人としての節を曲げてもフライを作らざるを得ない西村の、いかにも情け無さそうな表情が面白い。
頭をはずしてフライに仕立てた伊勢エビ、遠近感が変になってくるようなその絵面が可笑しい。



そんなこんなでようやく出来上がった巨大エビフライを、隊員一同、食して一言。
「やっぱり、伊勢エビは刺身だよね」 
…お前らがフライが良いって言ったんじゃあっ!(怒)(←西村の内心を表現してみた)(笑)

滞在期間の半分が過ぎた頃、元さんが誕生日を迎えます。皆がサプライズパーティを画策する中、元さんは日本に残した家族を思いちょっぴりナーバスになってしまっておりました。
「何か食べたいものは?」と探りを入れる西村に、元さん曰く「西村君、俺らは南極に料理を食べに来た訳じゃないから」
元さんの素気無い返答がちょっぴり切ない、いや、実のところはかなり悔しい西村。そんなこと、判ってますってば。それでも皆が美味しそうに嬉しそうにがっついて食べる姿を励みに、自ら望んだわけでも無い南極での料理人生活を頑張っているんですもの、西村は。
元さんの前では飄々とした態度を崩さなかった西村、一人になってから、置いてあった段ボール箱を力任せに蹴りつけます。うん、うん、悔しかったんだね。口には出さないけれど、自分だって皆のためを思って一所懸命なのに、その努力を全否定されちゃったんだもん。

この頃になると、そろそろ人間関係に縺れが生じ始めます。
隊員にはそれぞれに決められた役割と仕事があるのだけれども、皆が皆、望んでこの地へとやって来た訳では無い。西村だって、直前に事故にあったスズキ(宇梶剛士)の替わりに急遽赴任が決まったんだし、車両担当の主任は左遷でここに飛ばされたと思い込んでいる。
それぞれの南極への想いとその温度差が互いの間に亀裂を生み、それはやがて、修復不能な事態にまで追い込まれて…は、行かないんだな、これが。
主任と大気学者の平さんの争いに巻き込まれた西村、守り袋の中に大事にしまっていた娘の歯が零れ落ち、氷の底に落ちていってしまいます。愕然とする西村。
その一件が引鉄になりすっかりキレて引きこもってしまった西村、原因となった連中が謝りにきても聞く耳なぞありゃしない。
歯を失くしたことだけが問題じゃないのです。愛する家族と一年半も離れての生活は、西村だって辛かった。南極での料理担当はやりがいが無いとは云わないけど、苦労が報われてない判ってもらってないという気持ちだって本当はあった。それを必死で我慢して、皆の笑顔のために頑張ってきたのに…と云う想いが、この事件によって表に噴出してしまったのですね。
西村に対して悪かったなあという気持ちは、一同それぞれが持っています。でも、どうすれば西村の機嫌が直るか判らないし、いい年した大の男が「ゴメンネ、僕らが悪かったよ」なんて謝るのもイマイチ収まりが悪い、気持ちが悪い。そして何より、お腹が空いた…。
仕方なく、おぼつかない手付きながらも夕食作りを始める一同。
その頃、西村の気持ちも少し落ち着いてきました。怒りはまだ残っているし、それ以上に哀しい寂しい想いも強い。でも、同時に、いい年した大の男が拗ねて引きこもってしまったことにも多少の恥ずかしさを感じ始めている。
そっと部屋を出て皆の様子を覗いてみると…唐揚げが出来上がっていました。
西村に任せっぱなしでキッチンになんてほとんど立っていなかった7人が、よってたかってようやく作り上げた料理が鶏の空揚げだったのですが、これが実に不味そう。画面を通してみてもべチャッとしてドテッとしてて、これまで西村が作ってきた料理のように「食べたーい」とは、とても思えない。
お互い照れ臭いまま、皆に促されて西村は夕食の席に着きます。一口食べて、発した言葉は…。
「べチャッとしてて、胃に凭れる…」
このシーン、実は伏線があります。日本で家族揃って生活していた頃、あまり料理上手とは言えない西村の奥さん(西田尚美)の作った空揚げがまさにこの、べチャッとして胃に凭れそうな一品。
西村が文句を言ったら覿面に言い返され言い負かされてしまった、その時の家族の姿が西村の脳裏に浮かび上がります。
べチャッとした空揚げの不味さが可笑しくて、皆が一所懸命作ったその頑張りが微笑ましくて、西村は大笑いしながら口一杯に空揚げを頬張ります。懐かしい家族を想い、涙をポロポロと零しながら。
笑いと喜びと悲しみと切ない想いと、人間の持つ複雑でありながらもストレートな感情を一挙に迸らせたこのシーン、堺雅人の演技はさすが!と思わせる実に見事なものでした。


相変わらず、私の文章は無駄に長いねえ…。まだまだ、触れておきたいエピソードがあるので、またもや続きまっす!

南極料理人を見た!

    2009.08.22 Saturday| 23:40 |
本日より全国公開がスタートした、堺雅人主演映画「南極料理人」を観たよ!
内容詳細や感想については明日にでもあらためて書こうと思っているので、今日のところは先ずはこの一言。

ひっじょーに面白く、しかもとっても良い映画でっす!

大きな事件は何も起きない、ただただ南極越冬隊員の日常を描いた映画なんですが、その日常が実に面白くしかも興味深い。
上映中の館内では、いい感じの笑い声が終始上がっておりました。
何せ愛情に眼が眩む性質なので、堺雅人可愛さゆえの贔屓目かもしれん、と出来るだけ冷静に観ようと頑張ったんですが、うん、贔屓目無しでも本当に面白い楽しい映画でした。
もちろん、堺雅人贔屓の立場からすると…あまりにも美味し過ぎて涎が出そう。いやー、あんなにアップに耐える顔とは思ってなかった、とか言うとファンの風上にも置けん!って感じかもですが、物凄いドアップのシーンが何回もあるんですよ。堺雅人のあんなにドドドアップの映像を、しかもスクリーンで観るのは初めてだと思う。
それだけでも観る価値あり!ってなもんですが、これまでの出演作品ではしていなかったような、本当に様々な表情を沢山見ることが出来るのです。

…いけないいけない、詳細は明日とか冒頭に書いておいて、危うく怒涛の語りモードに陥るところでした。
ちょっとね、今日ね、酔っ払ってるのでね。明日、ホントに明日!
最後にもう一言だけ。

口一杯に唐揚げをほおばって大笑いしながら、しかもポロポロと涙を流す演技って、初めて見たよ! 
やっぱり演技めっちゃめちゃ上手いよ雅人、しかもむっちゃ可愛いよ雅人…!

本日、「南極料理人」公開!

    2009.08.08 Saturday| 23:52 |
本日8月8日は、堺雅人主演「南極料理人」の公開初日でしたー! 
ドンドン〜パフパフ〜♪ 拍手

南極両人・堺雅人

…とは言え、わたくしは残念ながら今日は観に行ってないのですけれども。
以前にもこちらでちょっと触れたけど、今日から公開されたのは新宿テアトル1館のみ。この蒸し暑くて鬱陶しい真夏の真っ只中、人の多い新宿くんだりまで出張る根性は無い!と言い切ってはみたものの、公開日が近づくにつれ、見たい気持ちがうずうずと。
虎視眈々と出掛けるチャンスを狙っていたんですが…どうしても回避できない浮世の義理が発生、やっぱり観に行けませんでしたのさ。ううううう、どうしてこの世には親戚付き合いなんつーものがあるんだろ。
…私の親戚がこのブログを読んでるなんてことは、まさか無いだろうな。えーと、私は私じゃありませんから! アナタの知ってる私は今これを書いてるこの人じゃありませんから! 絶対!!(って、書くくらいなら最初から書くな)。

とまあ、そう云うことで、実際に観に行けるのは今月の22日以降、全国公開が始まってからになりそうです。
まあね、美味しいものは後に取っといて楽しみながら食べる性質なので、待つのもまた楽しってなもんです。と、自分を慰撫してみる(←気が短いくせにー)。

昨日、金曜日付けの読売新聞夕刊の映画欄に、「南極料理人」が割りと大きく取り上げられておりましたよん。内容を掻い摘んで掲載しときます。

海外出張に出て家が恋しくなり、日本が懐かしく感じられることはよくあること。そしてもっとも恋しくなるのが食べ物だ。
本作の舞台は南極。日本から最も遠い地で一年半の、共同生活を送ることになった学者や技術者、そして堺雅人演じる調理担当の西村ら観測隊員8人。学者が観測隊の中核なのだが、実は西村がいなければ隊員たちは職務がまっとうできないのではと思わされる。
たきたてのご飯で作ったおにぎりと豚汁。伊勢えびの特大フライ。ローストビーフに赤ワイン。ありあわせの材料で作ったラーメン。西村の手料理のうまそうなこと、食べる隊員たちの嬉しそうなこと。
実際の観測隊員のエッセーの映画化だけに、基地での日常が丁寧に描かれている。生活描写の積み重ねの中に、食べる喜びが素直に表現されている。
「食べることは生きること」は、だれもが日々実感していることなのだ。
(2008年8月7日、読売新聞夕刊「オールザットシネマ」より、抜粋)


なっかなか、良さそうでしょ? 西村の手料理、美味しそうでしょ?
今日のTBS「王様のブランチ」でも「南極料理人」を取り上げておりまして、堺雅人と生瀬勝久のインタビュー映像が放送されておりました。
旭川でロケをした話だとか、堺雅人は実際に料理をしたのかとか、そんな内容でしたが、その中で印象的だったのが、おにぎり おにぎりの話。
堺雅人本人の談なのですが、何でも、堺雅人の手はおにぎりを握るのに非常に適した手であることがこの映画の撮影で判明したとか。
エッジが効いてて肉厚の、実に美味しそうな三角おにぎりが握れるんだそうですよ、堺さんってば。
ファンは納得だと思うのー。だって、あの指が長い大きな手だもん。そりゃあ、おにぎり握るのに向いてると思うよ。むぎゅ、ぎゅっと。

堺雅人は決して大柄ではないんだけど(公式サイトによると172センチ)、身長に比べて手と足が大きいというのは結構有名な話。
同じく公式に記載されているけど足のサイズが27センチ、172センチくらいの身長なら足のサイズは25.5〜26センチくらいが標準だと思うので、やはりちょいと大きい。
手が大きいと言うのは、映像を見てるとよく判る。
素の堺雅人は手を顎の下に添えたり、口元を覆ったりする癖があるので、その時の顔と手のバランスを見比べると一目瞭然。まあ、顔が小さいっていうのもあるんだろうけどね。
女性には手フェチが多いと言われますが、私も御多分に洩れず相当な手フェチ。男性の大きくて綺麗な手を見るとついつい見蕩れてしまうセイヘキの持ち主です。
女性と見紛うような先細りの指じゃなくて、男性的なしっかりとした骨格があって、しかもすっきりすんなりした指が好きで、外国俳優ならショーンやマッツ、日本人だと堺雅人や豊川悦司の指が好みど真ん中なんだよねえ。
もちろん、指だけ見てる訳じゃないけど。顔も身体も佇まいも演技ももちろん見るけど、でもでもやっぱり手指はかなり気になります。

話を戻して堺雅人のおにぎりについて。
番組中で、ゴッドハンドだのおにぎりだからライスハンドだのって話が盛り上がってましたが、確かに、予告編で観てもとても上手に握ってて、とっても美味しそうなおにぎりに仕上がっておりました。
丁度昼時でお腹が空いてたってこともあり、一時的おにぎり おにぎり 食べたい病に罹っちゃうくらい美味しそうだった。 モグモグ
ちなみに、このおにぎり話ですが、「南極料理人」公式サイトに掲載の堺雅人インタビューで、ほぼ同内容を読むことが出来ますよん。

南極料理人公式サイト
※ページ上部、【今日の献立】→作品情報→キャストと進んでください。

この公式サイト、デザインが非常に可愛い。ペンギンとか料理道具とか、とってもキュート。
コンテンツも工夫してあって、こじんまりとした内容ながらなかなかのセンス。お薦めです。

堺雅人と言えば、現在のもう一つの話題が放送中の「官僚たちの夏」。
どうやら、毎週週替わりで出演者の一人をクローズアップする展開らしい。てっきり、とにかく風越さんに焦点を当てて話を進めて行くんだと思い込んでいたので、嬉しい誤算でした。
先週放送分は庭野君頑張る!の巻で、堺雅人的には見所沢山の非常に美味しい週でしたねえ。舞台俳優、実力派俳優の本領発揮だったと思います。
明日は第六話、ドラマ全体の折り返し地点ですが、産業の発展と公害問題と云うこれまた非常に重たいテーマ。
皆々様、9時にはテレビの前で正座してご覧あれ!

| 1/2PAGES | >>

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2018 >>

selected entries

recent comment

categories

Twitter

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM